本日は午後から「JCCフェスティバル2024」が開催されます。

会員様に限らず、一般の方もどなたでも参加できる無料オンラインイベントになります。

盛り沢山の企画内容になっていますので楽しみにご参加ください。

※詳細はJCCホームページからご確認願います。

 

なお、フェスティバルには、13時30分〜17時までの間、何時からでも参加ができ、

いつでも退出することができるようです。

 

ちなみに「1級キャリアコンサルティング技能士による事例指導講座」の概説等は、

14時20分から30分間のスケジュールで予定されております。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、今回のブログ記事です。

 

1級キャリアコンサルティング技能検定の論述試験問題では、

指導レベルキャリアコンサルタントとしてのコーディネート能力を測定する問いがあります。

論述問題の出題形式が変更となった第13回(2023年度)では、

コーディネートに関する問題は論述試験の問3にあたります。

 

第12回までの論述問題では選択問題の問3に設定されていて、

問1で事例相談者が抱えている問題を問われ、

問2で事例相談者の問題を解決するための指導プランを問われていたため、

問3のネットワーク等を考える際、その思考プロセスの流れから、

どうしても事例相談者の足りないところだけに注意が向いてしまい、

その足りない能力を補うためのネットワークを考えていくモード、

この偏った思考にとらわれることがあったかもしれません。

 

結果、

事例相談者の研鑽等につながる一般的なネットワーク項目ばかりが解答に列挙されるという状態があったと推測します。

 

ネガティブな一例を挙げるとネットワークの解答に、

スーパーバイザーをみつけて〇〇をテーマにしてスーパービジョンを受けるとか、

職能団体等の〇〇講座を受けるだとか、

〇〇を専門にしているキャリアコンサルタントとつながるとか…。

キャリアコンサルタントにとって誰にでも必要とされるネットワークを記述している。

これでは採点側からして、

コーディネート能力について適切な測定ができない状況になりそうです。

 

せっかく事例相談者が事例指導を受けるためにまとめた事例があるのにも関わらず、

誰にでも当てはまる一般的な答えを書いてしまっては、

試験問題に応えていることにはならないかもしれませんよね。

 

新たな出題形式となった第13回ではそれを避けるためなのか、

設問に諸々の工夫がなされているように感じられました。

 

「相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。」

 

この問いの文章表現、そして問いの位置。

 

先ず、相談者Aと特定し、

事例から個別具体的にイメージできるものを問われているということが伝わってきますし、

この場が事例相談者Bへの事例指導場面であることを忘れていなければ、

事例相談者Bが相談者Aを支援するために、

事例相談者Bにとってどのようなネットワークがあるとよいだろうか…

と考えられる、

つまり、事例指導者としてコーディネート内容を具体的に考えやすくなる問いかけです。

 

さらには、

前問の問1、問2で事例指導者としてのケースを掴む枠組みが設定されていることなどから、

問3では今までのような一般化されたネットワークの考え方、

解答の仕方に陥り難い設計になっていると考えます。

実践的にも大切なところですね。

 

相談者Aの状況から、

相談者Aが少しでも楽になれる、相談者Aが少しでも幸せになれるには、

相談者Aが置かれた環境がどうなるとよさそうか、

また、どのように環境を創造していくことができそうか、活用できそうか、

相談者Aの具体的な成長を加味しながら、

環境への働きかけを多面的に考えてみることが必要になります。

 

そして事例相談者Bにどのようなネットワークがあれば、

そうした環境への働きかけ、環境への介入が有効となりそうか。

事例相談者Bの立場を踏まえ、より具体的に考えていくことができそうです。

 

事例指導者(受検者)が、事例相談者の問題点(不出来な点等)を先に考えてしまうと、

その思考過程が邪魔をし、ネットワークの考え方自体、

事例相談者の専門家としての弱み等を克服するための視点で検討されていく傾向があります。

 

弱みを克服していくアプローチ等が悪いわけではありませんが、

効果的な指導プランを立てるときは、学習者(事例相談者)の弱みをあぶり出すよりも、

先に、指導者自身が心得ておく重要なことがあると思います。

 

第13回の論述試験問題の問1、問2、問3では、

特に、事例相談者Bの不出来なところを考えていく場面にはなりませんし、

実技として実践と連動した形での認知過程を経ていく設問の流れになっていると思うのです。

 

こうした過程を丁寧に経ていくからこそ、問4、問5で事例指導プランの実際・策定に進めるのではないでしょうか。

 

次回の記事では、問4にあたる対応の問題を考えてみたいと思っています。