今夜は、
日本キャリア・カウンセリング研究会(JCC)主催
「1級キャリアコンサルティング技能士による事例指導オンライン講座」が開催されます。
今年度に入り本講座は3回目となりますが、
今夜のプログラムとして、先々週の夜に開催した基礎内容【前編】の続きにあたります。
受講者10名様と事例指導の実践的な視点等が1級技能検定試験とどのようにつながりそうか、
改めて様々な角度からご一緒に考えていきたいと思っています。
なお、今回ご参加いただく方の中には、
前回の講座に参加できなかった方もいらっしゃるかもしれません。
そうした方にとっても、できる限りわかりやすく解説を加えていきたいと考えています。
今夜受講者様にカメラを通してお会いできることを楽しみにしております。
さて、今回は「統合的なアプローチ」というタイトルで記事を書きます。
相談者支援を考えていく際、キャリアコンサルタントによって、
自己が備える知識や能力を総動員させながら、
様々な知恵を絞って相談者への多様なアプローチを考えると思います。
一方、アプローチといっても、
相談者にとって余計なお世話になる場合もあり、
そのようなときは、概ね、キャリアコンサルタント側の思い込み都合や、
一方的な考えが強く出ていることもあるのかもしれません。
支援を考えているつもりが自分中心になってしまっていた…
なんてことはわりと多いのではないでしょうか。
相談者への支援を考えてみるとき、
相談者の個別のニーズを理解し、内面的な成長を促進しつつ、
必要に応じて環境への介入を行うことで、
持続可能な解決と成長を目指すことができます。
相談者が抱えている問題や課題を理解していき、
個別のニーズやウォンツに応じた支援を提供することで、
相談者自身の成長や問題解決にもつながっていくことでしょう。
それは相談者の深い自己への理解や動機づけにもなり、また持続的に自立した能力を育むことにも貢献します。
相談者自身が自己に向き合い、内面的にも成長できる機会を提供することは、
先々、同じような問題等に直面した際にも対応力が高くなります。
併せて、相談者を取り巻く環境のシステム的な問題発見等にもつながることがあります。
これは、個(相談者自身)への支援の過程で共有できることでもあり、この起点が大事にもなります。
職場や家庭など、環境に改善すべきところがあると分かれば、
相談者自身への支援だけでは一時的なものに終わってしまうこともあります。
相談者が所属している環境の改善を試みていくことで、相談者自身の取り組みが持続可能となるケースもあります。
私自身、この両者のバランスが大事だと教えられてきましたが、
単に思考スケールやボリューム的なバランスの重要性をさしている訳ではないはずです。
実際に現場において組織へのかかわりを通しながらも個への支援を考えていく際、
やはり、キャリアコンサルタントとして相談者自身を中心にしたアプローチが最も重要であるということを実感します。
つまり、例えば組織の方針等が立ちはだかっていても、
私自身専門家としてまずみるところは、
相談者自身の個の意向や希望等を一番に尊重し、
彼らが主体的に問題解決に取り組む姿勢を育てることを重要だと考えます。
つまり相談者を最優先に考えていく過程の中で、
個と組織のバランスというものを相談者主体にしながら共有する場をもつことです。
これは、相談者の自尊心や自己効力感を向上させていく効果と持続可能な成長が促進されるものだと信じています。
「統合的なアプローチ」を考えるとき、
本質的には「個と組織は決して共生し得ない」とも表現できるのかもしれません。
重要なのは、
個の成長を願うサポートが自立した個の集合体を創造することにもつながり、
それは結果として変化に強い組織、組織としての柔軟性や軸を生み出すことにもなるでしょう。
環境への介入を優先した考えを持つと相談者が望んでいないことになったり、
また、相談者の自立性を妨げることにもつながることがあります。
まずは相談者自身の成長や問題解決を支援し、
必要に応じて環境への介入を共に検討するというバランスの取れたアプローチが求められるはずです。
ひとつの起点として、
相談者の幸せを第一とした活動を考えていくことが、
キャリアコンサルタントの醍醐味です。
こうした態度を持ち合わせた者同士だからこそ、
事例指導という営みにおいても、
事例相談者自身のキャリア形成支援者としての成長にフォーカスすることができるのではないかと考えています。
視点が散漫にならないよう気をつけたいところです。