昨年4月初日と今年3月末に事例指導のオンラインイベントを1回ずつ開催いたしました。

 

2回とも概ね60名〜70名様ほどの方に参加(観察)いただき、

それぞれにとって充実した学びの場になったのではないかと思っています。

 

特に私の中で印象に残っていることとして、観察いただいたからの感想等に、

事例指導者である私「小林」が

(話す割合が少ない、頷きやおうむ返しなどの反応がほぼない)等々…

そうしたところに注目いただいた方がとても多かったことです。

 

注意をしたいこととして、

その注目したシーンをそのままの印象で切り取って記憶の中で歪めてしまうことがあります。

 

当時私は、皆様が観察してくれる事例指導の実践面接に入る直前まで、

事例相談者の方を含めた60名〜70名様の目の前(オンラインカメラ)で、

自身のプロフィールは勿論、キャリア形成支援や事例指導における考え方などを、

ある程度の時間をかけ話し続けています。

 

この事前の話しに面白みがなかったり、その内容に関心が深まることがなければ、

きっと事例指導の面接自体、観察したいというスイッチが入り難いはずです。

 

事例相談者の役割をしていただいた方にとっても、

私自身がずっと独善的な演説しかしていなかった場合、

事例指導の時間になっても、事例相談者は自己の主体性にスイッチを入れられず、

課題を見つけていくことすらできなかったと思われます。

 

ここで書きたいことは、私が事例指導の特に面接前半の時間で、

事例相談者の話しをただ聴いているだけのようにみえたというのは錯覚でもあるのかもしれません。

 

イベント全体の構成を観察していただくと感じることがあると思います。

事前準備からすでに事例指導の面接が始まっているということにもなります。

 

1級の試験であってもこれは同じです。

 

当然、当日だれが事例相談者であるかもわかりませんし、

そしてどんな話しをしてくれるのかも何もわかりません。

 

ただ、事例相談者役であっても、受検者となる事例指導者であっても、

お互いに事前に相応の準備を重ねているものです。

それは互いには見えません。

 

それでも互いに出会う瞬間まで準備してきたものがあるからこそ出会い、

その出会いの瞬間、そのひとに向けた感謝や感激を真に抱いているのであれば、

特段多くを語らなくとも、事前に知らなくとも、

その互いの気持ちは、大なり小なりごく自然体に伝わるものです。

本物であるということです。

ある意味でのかまえと心得が通じ合って対話が生まれるのではないかと考えるのです。

 

ここにいるということは、

キャリアコンサルタントとして自己を磨き続けてきた証であり、

この日のこの出会い、この面接に臨んでくれている事例相談者、

その全ての関係者に敬意を示すことになるのだと思うのです。

 

そうした態度を磨き続けているからこそ、

その時出会う事例相談者の返報性に影響して響き、

そして事例相談者は本当に語りたくなるのだと考えます。

 

その本当の語りを聴く際、事例指導者は、なにも足さない、なにも引かないのです。

 

話す割合が少ない方がいい、多い方がだめ、

実際にはそうした表層的なことではないと感じます。

ひと同士の本気の対話は面白い。

特に、専門家同士だからこそ、

二人の関係性のうえでより豊かな成長機会が育まれていくのだと思います。