昨夜は約30名の方にオンライン講座へ参加いただきました。

平日の夜、19時から講座を開始するため、

受講者様にはいつもバタバタとアクセスいただいているような状況になり恐縮です。

ご参加いただいた皆様へ、心から感謝申し上げます。

 

第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験問題を活用して、

事例指導を受ける事例相談者をイメージした実践的な視点等を皆様へ諸々投げかけました。

 

画面共有の箇条書きでお示しした文字資料では、

言葉で補足説明等を加えても、なかなか理解できないこともあります。

ひとまず考えていただき、そのうえで図解しお伝えすることで、

もう少しだけ理解が深まっていくということもあります。

昨夜はそうした効果等を図ろうと考え、講座時間の中でステップを踏めるよう少し工夫しています。

 

私たちは、ある文脈を一方向からしか認識できないこともあります。

それは、これまでの経験などが影響して思い込み等になっているかもしれません。

 

しかも多くの場合、

阿吽の呼吸ともいえるような感覚で、

多くのひとがその文脈を同じ一方向からだけで認識していることもあるのです。

 

突然、割って入ってくるように想定外の刺激を受けた場合、

驚きすぎて余計に整理がつかなくなったり、

意味がわからなくなっていくこともあるようです。

理解しやすい方向に行くことのほうが安心できることがあります。

文脈依存的な感覚です。

 

本来であればいろんな方向から読み取ることができるはず。

これがとても面白いのですが、なかなかそこに余裕を持ち難いこともあるかもしれません。

 

1級の実技試験は「事例指導」実践を純粋にイメージすればいいと思います。

事例指導者が一人であれこれ考え意図的に何かを準備するようなことではありません。

なお、純粋にイメージするということは、一方向からの解釈や考えなどと決してイコールにはならないと思います。

 

目の前に学習者である事例相談者がいるということです。

この目の前のひとが事例指導を受けるため、事例をまとめてきたのです。

 

事例相談者を理解していくことから取り組んでみると、

多視点での捉え方も訓練されていくことがあります。

 

論述であれば問1から問5まで、

事例相談者との実際の事例指導面接(指導プラン含)を目的にした設問として向き合い、

2級試験等との異なり等を味わいながら事例指導の実践的な訓練を重ねていきたいと思います。

 

さて、今回の記事では、

1級キャリアコンサルティング技能検定試験の特徴ともいえるコーディネート能力、

ネットワークと環境への働きかけについて触れてみたいと思います。

 

第13回の論述問題では、

相談者Aを支援するために必要なネットワークは何か。

相談者Aの置かれた環境への働きかけについて関係機関や関係者との連携も考慮し、記述せよ。

という問いが出題されました。

 

ここでありがちなことに、

例えば、事例相談者Bに必要なネットワークとして

 

・企業分野(IT業界等)で活動しているスーパーバイザー

・同じ業界や関連企業等で活動している熟達キャリアコンサルタント

・所属組織内外の先輩、同僚等のキャリアコンサルタント

・IT企業分野等におけるキャリア形成支援のあり方、事例等を学べる職能団体組織や関係者

 

などと解答するケースがあるかもしれません。

 

こうした発想が出るのは、事例相談者Bが、

キャリアコンサルタントとしての課題を改善していけるような学習資源等を提示しているからかもしれません。

 

一方、それはどうかすると、事例相談者Bだけのことではなく、

全てのキャリアコンサルタントに当てはまりそうな解答にも感じられるかもしれません。

 

つまり、この相談者Aを支援するために必要なネットワークとしては、

どこか距離があるようにも感じてしまいます。

 

勿論、事例相談者Bがスーパービジョンを受けたり、

学びを通して自己の課題に気づけることは相談者Aの支援に必要なことです。

これは言い換えれば、相談者がAさんだろうとCさんであろうと、Dさんであろうと、

相談者がどなたでも、

キャリア形成支援者として必要な学習行動になるのだと思います。

 

これでは1級の論述問題の問いに答えていることにはならないかもしれません。

 

第13回の出題形式変更からこの設問の意図が受検者にとってわかりやすくなったというか、

質問がより親切になったように感じました。

相談者Aの置かれた環境への働きかけについて、

具体的に考えていくことができるよう、設問自体にヒントがあるようにも感じます。

 

事例相談者Bが事例にまとめた情報を整理し、実際の現場をイメージしながら、

相談者Aの状況やその取り巻く環境等から、環境への働きかけをプランしてみて、

他に巻き込むとよさそうな関係機関や関係者を考え、

そのためにはどのようなネットワークが必要になるのか、

この支援、介入等におけるリスクを可能な限り回避できるよう、

具体的に考えてみたいところです。