今夜は1級キャリアコンサルティング技能検定試験対策講座をオンライン開催いたします。

30名の受講者様とご一緒に、第13回1級論述試験問題を活用し、

事例指導の実際を踏まえて各問を考えていきたいと思っています。

講座に予約いただいた方々、どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、第13回の論述問題では、

あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。

という質問がありました。

 

この問いの表現を受けたとき、

第13回の試験を受検された方、

またはホームページでこの問題が公開されたものを読んだとき、

どのようなことを感じられたでしょうか。

 

きっと、ひとそれぞれで様々な意見や感想があるかと思います。

勿論、特段何も考えなかったという方もいらっしゃるでしょう。

同じ文章を読んでも、様々な捉え方や感じ方があるのですから、

実に興味深いところです。

 

そして何事も考えると言うことは、本質を捉える力を培います。

改めて読者の皆様とご一緒に考えられたらと存じます。

 

先ず、私が「ム…!?」と引っかかったことは、

「相談者A(クライエント)が取り組むべきこと」というところでした。

 

「べき」という表現も気になるかもしれませんが、

以上に、キャリアコンサルタントとの共同的な関係に支えられていく視点に欠ける表現であると感じ、

その後、間もなく、この設問表現の意図を自分なりに解釈してみたくなりました。

 

2級や標準レベルキャリアコンサルタント(国家資格検定)試験の論述であったとしても、

相談者(クライエント)は、何かしら一人では乗り越えられないような困難さを抱えて相談に来ている(または相談している、または話しをしている)わけですから、

専門家側のその見立てが、相談者の弱点や未熟なところを問題としていたり、

それを解決するには相談者が問題を解決するのだから、相談者はこうすべき…

などといった考えは、随分と傲慢な感じもします…苦笑。

 

さらにこの試験は指導レベルキャリアコンサルタントの実技評価を行うための試験ですから、

そもそも上記のような考え方からくる見立てではちょっと寂しい感じです。

出てくる言葉が紋切り型でベタな表現で連なってしまいそうですね。

 

当然、指導プランを立てていくうえで、

事例指導者として事例相談者の事例を預かり、

その「事例を掴む」という過程を踏むことは大事な要素でもありますので、

そうしたポイントを踏まえた設問であると解釈することはできそうです。


そして私は見方を少し変え、

「相談者Aが問題を解決していくための必要なキャリア形成支援とは何か?」

という視点から考えを整理してみたいと思います。


そう考えてみることで、

相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことがイメージできそうです。

適切なキャリア形成支援があるからこそ、相談者が何かに取り組めるわけですね。

 

そしてこの後者の見方で解釈してみると、

「あなたが考える見立てに基づき」というところも網羅します。

 

他人事のようにならず、きちんと事例相談者Bの記録から事例の状況を掴み、

さらにはこのケースの状況から必要なキャリア形成支援を検討でき、

事例相談者Bの見立てを踏まえながら、事例指導者(受検者)の考えを重ね合わせ、

「あなたが考える見立て」として整理していくわけです。

 

なぜこのような認知過程が必要か。

 

それは問いの全てのプロセスとその意味が、

事例相談者Bが事例指導を受けるためにまとめたものであるということを背景に持っているからです。

こうした視点取得を磨いていくことが事例指導の実践力に必ずつながっていくはずです。

 

単に、あれができていない、これができていない、と表現したり、

キャリアコンサルタントとしての初学者時代に学習する最初の一歩といえる問題把握の視点のあり方を、

そのまま1級の事例指導に置き換えて取り組んだところで、どこかズレてしまうことがあるのかもしれません。

 

論述でも面接でも、

事例全体と相談者、事例相談者を立体的にイメージしていく力が必要だと感じます。