昨日は横浜で8名の受講者様と一緒にキャリアコンサルタント同士による事例指導について、

その実践的な側面と試験で問われている視点を行き来しながら考える時間を過ごしました。

とても充実した場になったと思っています。

受講いただいた皆様、どうもありがとうございました。

 

昨日に引き続き、

本日、横浜会場にて12名の方とご一緒に学びを深めてまいります。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

今日の横浜のお天気は快晴の予報が出ています。

最高気温はなんと…28℃

ということなので、夏が一気に近づく感じがします。

 

さて、今回の記事では、

第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技(論述)試験過去問を活用して、

事例相談者の対応についてのひとつの考え方を書いてみたいと思います。

 

問4 事例相談者Bの相談者Aへの対応について「問題」だと思うことは何か。事例に基づいて記述せよ。

 

この問いは、過去の第12回までの必須問題で出題されていた問いに似ていると思います。

第12回の1級論述必須問題の問2の問い文章を書き出してみましょう。

 

「問2 この事例相談者の相談者Aへの対応について、どのような問題があるか、あなたの考えを記述せよ。」

 

改めて比較してみると、細かなところで質問に工夫を感じますね。(私だけかも)

 

例えば、

「問題」だと思うことは何か。という表現、

どのような問題があるか、という表現、微妙に異なりがありますね。

というか、

かなり違いがあるように感じます。

 

新しい出題形式(第13回)の方が実にソフトでどこか幅を感じる問いです。

 

また第13回では、事例に基づいて記述せよ。となっています。

これが親切な問いかけだと思いました。

 

一般論で終わらせずに、事例相談者Bがまとめた事例から、

その個別具体的なところを踏まえ説明してほしい…

ということが強調された感じがします。

 

これまで第12回以前の、あなたの考えを記述せよ。というところは、

当たり前といえば当たり前であり、試験に臨んでいるひとはみな、

自己の考えに基づいて解答しているでしょうから、

問いの文脈の流れから、おまけのような文字表現にしか映らないかもしれません。

「あなたの考え」その意味を深く考えるひとは皆無に等しかったと思います。

 

本来、事例指導の場において、

事例相談者との関係性を踏まえた事例指導者としての役割意識を踏まえ、

「あなたの考え」を立体化していくような認知過程が実技として必要だと思います。

視点取得を含めての「あなたの考え」ということになります。

 

そういう意味でも今回の、事例に基づいて記述せよ。

の方が焦点化していくべくポイントを複雑に考えずに掴みやすい感じがします。

 

こうした細かしい感覚について、

(そんなことはどうでもいい…)と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

一方で、これだけ問いの文字表現を微妙に変化させているところに、

この問いによって何を求めているのかを、

より掴みやすくしてくれている繊細な工夫があるのだと考えてみることもできます。

 

また何より、試験会場自体が非日常的な場であり、

一年に一度きりの唯一の機会であることを含め、

受検者の方にとってその緊張度合いは尋常でないひとも多数存在します。

 

精神的にも心理的にも過酷な環境下、

一人ひとりの論述の問題解釈がブレることだって当然にあるというものです。

だからこそ出題形式やその表現内容にも相当な神経をつかっていることが考えられます。

 

受検準備を行う際、実技としての実際の考え方、感じ方を大切にし、

学びを深めながら着々と実践的思考を磨き上げていきたいものです。

 

お話しは戻り、

事例相談者Bの相談者Aへの対応について「問題」を考えるとき、

事例指導者(受検者)がどのような認知的過程を経ていくのでしょうか。

 

一部には、

単に問題の表面的な現象へ対処することに焦点を当てる傾向があるように感じます。

このアプローチ自体、問題の本質を見逃す可能性があるでしょう。

 

そもそも問題がなぜ発生しているのかを理解しようとしないまま、

ただその問題となる行動を指摘するだけになり、問題が根本的に解決されない、

いや、その問題自体が「問題」ではない可能性があるのです。

要するに、問題がつかめていないことになるでしょう。

 

事例指導を受ける事例相談者が、より受け入れやすいと感じるのは、

まず、事例相談者自身の行動や考え方について理解を深めることです。

 

事例相談者が主体に考える、より善い相談者支援のため、

その自身の行動や考え方を改善することで、

事例相談者の面談の実践力向上につながるとわかるからこそ、

事例指導が効果的に行われるのです。

 

つまり、対話と理解を重視することで問題の本質が明確化されていき、

より建設的な解決策が見出される可能性が高まります。

問題と思われるものの背景や原因を理解することが、

適切な事例指導やその対応を行う上で非常に重要だと考えます。

 

ここでも、この論述の事例問題自体が、

「事例相談者Bが事例指導を受けるためにまとめたものである」

ことを忘れてはならないと思います。