昨夜、オンラインで1級キャリアコンサルティング技能検定実技対策講座の基礎編を開催いたしました。

4月初日のオンラインプログラムをつめ、28名の受講者様へご提供しています。

 

特に1級受検に向き合っていく際に大切だと考えるところ、

事例指導のひとつのベーシックなあり方を考えていく時間になるように、

試験対策にとどまらない実践家に考えていただくための重要ポイントを可能な限り盛り込んでいます。

 

お忙しい中、早速数名様よりメッセージをいただきました。

心から感謝申し上げます。

 

「真の支持的態度」「学習者が自らの考えを再編成する」

「無意識のこころの活性化」「主体・客体」等々について、

考えることがあった、改めて振り返る機会になったとするコメントをいただきました。

1級を目指す方や事例指導者を担う方にとって大事な学習テーマだと考えています。

そうした点で何か感じてくださることは、私にとっても嬉しく励みにもなりますし、

半年以上かけてあれこれ準備してきた内容なので本当によかったと思っています。

 

5月も引き続き、よろしくお願いいたします。

 

さて、過去問となる第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験について、

改めて考えていきたいと思います。

 

ただ、考えていくといっても、

問題事例に沿って解答内容を具体的にここで考えるというのではなく、

事例指導者としてどんな思考過程を経ていくのかというイメージで文字にしてみます。

 

いつも書いていることですが、

まず、この論述問題は実技試験であり、

事例記録の冒頭にボールド文字で示されている箇所に注目しておきたいものです。

 

次の文章は、事例相談者Bが相談者Aとのキャリアコンサルティングについて事例指導をうけるためにまとめたものである。この事例を読み、以下の問いに答えなさい。

 

そして今回の事例問題から「事例相談者B」と

事例相談者にも名前がつけられました…^ ^

 

いちいち深読みする必要がないといえばそれまでですが、、、汗

 

私個人的には、

「事例相談者B」の個別性というか、

Bというキャリアコンサルタントの持ち味や特徴、傾向を加味して、

決して一般化せず考えてみてね!というメッセージにも思います。

 

それぞれの考え方、感じ方が大事ですが、

いちいち、敏感になることも重要なときがあるかもしれませんね。

 

お話しは戻って、

上記の通り、事例指導の実技として、ボールド文字の意味合いを忘れないことが大事です。

 

誰が何の目的で行動しているのか、

その一つひとつを丁寧に感じ取る必要があります。

 

(問1と問2は簡単だよね)(問1と問2は所詮2級と一緒)

このように考えるのは勝手だと思いますが、

1級の試験に対して、2級と一緒だよね…

ということは、

キャリアコンサルティング面談と事例指導面接を、

一緒のところがあると認識しているということにもなるのかも。。。

 

それでは事例指導者として結構まずい感じです。

そもそも面接自体の目的が異なります。

 

そして仮に一つひとつ面接の段階的なものを分解したとしても、

キャリアコンサルティングと事例指導では、各ステップ等での目的自体も異なります。

 

一例として、キャリアコンサルティング能力について、

2級でも1級でも検定試験の評価細目にあるはずですが、

これは同じではなく、例えば、2級であればクライエントとの面談実践で観察評価することができますし、

1級であれば、事例相談者との事例指導面接実践の中で観察評価することができるでしょう。

 

つまり異なる目的でのやり取りの中でも、

キャリアコンサルティング能力は測定できるということはわかると思います。

 

論述に話しを戻しますが、

これも同様に、たとえ(問1 相談者が訴えた「問題」は何か)と問われても、

2級と一緒のはずがないことがわかるのではないでしょうか。

 

つまり事例指導者の前にいるのは、事例相談者Bであり、相談者Aではないのです。

2級であれば、目の前にいるのはクライエントです。

 

実技として全然違うことがわかるはずです。

 

これを自然かつ立体的にイメージしていく感覚は、

実際の現場での事例指導場面やスーパービジョン場面を毎日のように意識して行動にしたり、

またイメージトレーニングしていくとよい意味で複雑さを感じられ、

多面的に考えられるようになります。

 

確かに事例記録にある情報だけから(相談者 Aの訴え)を把握するのですから、

そのようなプロセスを踏んだ文字たちを眺めても、

その結論だけをみれば、2級とどこが違うの??と感じることもあるかもしれません。

 

しかし、それはコンピューターが弾き出したようなどこか表層的な文字たちではなく、

もっと面白みのある、味わい深い何とも考えられる表現になるのです。

 

それは当然です。

 

なぜなら、

まず事例をまとめている事例相談者Bを理解する過程から考え、

そしてようやく導き出す解答だからです。

 

事例相談者Bが相談者Aの訴えをどのように捉えているのか、

それは事例から状況を整理することがヒントになるかもしれません。

それも事例相談者Bの立場を味わいながら整理していく過程が面白い。

 

だからこそ私(事例指導者)の一歩先をいった見立ても生まれるのです。

 

それらを合わせて、自分(事例指導者)の考えとして示していくことができるのが、

事例指導者の役割のひとつではないでしょうか。

 

2級と同じだというのは簡単。

そうした感覚は脇に置いて、改めて、何のための1級なのか、

論述においても問1から問5まで一貫して忘れないでほしいと思います。