1級キャリアコンサルティング技能検定では、
実技面接試験(ロールプレイ)の場面で、わりと多くの方が、
事例相談者役の方との間に軋轢が生じる体験をしたり、
なにか関係性がギクシャクしたような感覚のまま時間が過ぎてしまったりと、
なんとも煮え切らない、わだかまりが残った感じになることがあります。
事例相談者の状態や性格等によって反応はそれぞれであり、
「こうすればいい」などといったものはないはずですが、
好ましくない状態については、ある程度、共通のポイントがあるように思っています。
今回のブログにおいても、
ここ数回の投稿記事に連動した内容を書いてみます。
一例ですが、
事例相談者に緩やかながらも変化や気づきが起こるのは、
その時(事例指導面接時)の事例相談者にとって、意味のある問いなどの刺激を得ながら、
それらを手がかりにして自ら考えたくなるような状態にあることが必要だと考えます。
それはまさに事例相談者にとって自由であり自分をコントロールできる状態になることが大事かもしれません。
好ましくない状態というものは、
例えば、
事例指導者が変化や気づきの必要性を事例相談者に対して主張・提唱し、
事例相談者がそれに反対して2人が議論しているような状態にあり続けることです。
継続的な直接的議論は対立ばかりが強化されていくことも多く、
事例相談者の変化や気づきとは反対の立場で事例相談者自身に話をさせていて、
ある意味、防衛的な議論をさせ、それを強化させることによって、
実際、変化や気づきの反対方向に追いやっていくことにもなりかねません。
事例指導者が正論を当てつければ、両価性の立場にある事例相談者は、
正論を頭で理解しながらも、自身の見立てや方策等にも有用性を感じているため、
正論と反対の立ち位置に立つしかなくなる状況がつくられるのかもしれません。
つまり、事例相談者が抵抗を示したときというのは、
互いに建設的な対話を生み出すための手前のサインなのだといえます。
ここが事例指導者自身を変化させていくためのポイントでもあると考えてみると実に面白いと思います。
事例指導者自身が自分の思考の枠組みを変えたり、
自分の考えや行動等を180度返してみたりすることによって、
事例相談者の自らの変化や気づきへのはずみをつけることができることもあるのです。
事例指導面接の訓練(対策講座)などの場においても、
事例指導者役の方がムキになっていたり、
なにか意固地になっているようなシーンなどを観察することがあります。
お互いに諍いを起こしたくはないというか、
面倒なことには巻き込まれたくないということもあってか、
本音で話し合う場面作りを互いに放棄しているなんてケースも少なくはない感じもします。
これでは(それぞれ大人ですから…)ということでは通用せず、
専門家同士、実に勿体無い時間になってしまう可能性もあります。
どんなひとが目の前に座ろうとも、
この30分間は、誰がなんといおうと、
この唯一無二の場と時間を充実したものにしようとする、
その絶対的な意志を保つことが重要だと思います。
それは事例指導という場である以上、
事例相談者に対し、事例指導者が率先してその態度を保つことしかありません。
これが1級の試験においても、
実際の現場の場面においても、
ひとつ重要なところになると考えています。