今回の記事ではキャリアコンサルタントのクライエントへの対応の問題を事例を使って具体的に考えてみたいと思います。


事例は前回に引き続き、

第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験問題を活用いたします。

 

問4 事例相談者Bの相談者Aへの対応について「問題」だと思うことは何か。事例に基づいて記述せよ。(25点)

 

この質問について事例を読んで考えてみます。


昨日の記事にも記したことですが、

問題となる事象の指摘に留まるのではなく、

その背景を含めて捉えていく過程が大事だと思います。


『訴えられた言葉に焦点を当てた対応が中心となり相談者の持ち味を意味付けていく対応が少ないことから関係性に影響がある。「お金の話しになるとプレッシャーを感じて」との訴えに、本人の中でその状態をどう感じているか、プレッシャーの正体が何かなど、相談者を照らす問いかけが意識されると面談の効果が期待できる。「実は同様の相談って結構多い」「管理職にとって避けられない」「全員通ってきている道」「私も予算管理は苦手でした」など認知の変化や励ましを試みていると思われるが、個別性への配慮が弱く、事例相談者自身の経験値等が優先しているように取られるリスクがある。

「スペシャリストでやっていければいい」という相談者の発反応は些か抵抗が感じられ、そこで「家庭でも予算管理が重要になりますね」といった言葉で対応したこと等、関係性をさらに悪化させているのかもしれない。相談者の苦笑を察知した際、その意味等を丁寧に理解していく対応がほしい。』


この問4での解答スペースはわりと大きくとられていたので、

それなりに幾つかの問題事象からその背景を含んで表現しつつ、

事例相談者Bの特徴的な共通項を意識した内容にしたいと思いました。


事例を読んで伝わってくることは、

事例相談者Bと相談者Aとの関係性には、

なんともいえない無言の空中戦…

というか言葉のやり取りからお互いに理解し合えていないような場があるような感覚を覚えます。


相談者Aはプロジェクトリーダーを任されているようなひとですから、

それなりに大人の対応というか、

面談の中で諍いを避けたような精一杯の反応をしているのかもしれません。


事例相談者Bはそんな相談者Aのことを信じて対決している場面を記録に残しているようです。


事例相談者側がこの面談のイニシアチブを握っていこうとしているかのように感じてしまうことはもったいないですよね。


次回は問5について考えてみたいと思います。