第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の問4について、

ひとつの考え方を記事にしてみます。

 

この第13回の論述試験から出題形式が変化しているので、

受検された皆様をはじめとして多くの方がこの試験問題に注目されていました。

 

結果、この問4と次の問5の2問だけで計50点の配点となったことは、

少しだけ驚いた方もいらっしゃるのかもしれません。

 

それだけ事例指導の実技として重要な項目の問いであり、

幅がある解答、深みがある解答が必要だとも考えられます。

つまり、事例指導に大事な要点等が散在しているともいえるのかもしれませんね。

ここで満点取るのは大変そうです…(満点などないのかもしれませんが…)。

 

問4 事例相談者Bの相談者Aへの対応について「問題」だと思うことは何か。事例に基づいて記述せよ。(25点)

 

この問4にある「事例に基づいて」という言葉に注意が向き過ぎて、

単に自分自身が「問題」だと思うことの事象表現の羅列に留まってしまうケースが多いように想像しています。

気をつけなければいけないところだと思います。

 

一例を挙げれば、【事例】に記録されている

(「実は同様の相談って結構多いんですよ。管理職にとって避けられない業務ですもんね。」と笑顔で応え…)

(穏やかな口調で「今いる管理職たちは全員通ってきている道ですよね」)

(「実は私も予算管理は苦手でした」と優しい口調で…)

(「そうなると家庭でも予算管理が重要になりますね」)

という箇所があります。

 

あくまで例えの一部ですが、

こうした事例相談者Bの対応自体を「問題」とみなし、

 

・話を一般化し相談者Aの個別性を理解していないことが問題

・逆に逃げられないように話を囲っていてさらなるプレッシャーを与えている

・笑顔で応える、穏やかな口調、優しい口調等が相談者Aにとって嫌味になる

 

等と事例相談者の対応事象についてダメ出し尽くしになっているケース。

事例指導をうけるためにまとめたものが、

事例指導者(受検者)にそのように扱われてしまうのであれば、

二度と指導などうけたくなくなりそうです…苦笑

 

そもそも事象を都度捉えられ「問題」として指摘された場合、

事例相談者自身の主体的な成長につながる視点となるのでしょうか。

 

忘れてはならないことは、

「次の文章は、事例相談者Bが相談者Aとのキャリアコンサルティングについて事例指導をうけるためにまとめたものである。」

という冒頭の前提(注意書き)があることです。

 

事例指導者がいくら適切かつ合理的な答えを出したとしても、

肝心の事例相談者がしっくりこなければ全く意味がないものです。

 

事例相談者Bがそのような問題と思われる対応(行動)をとった背景を知ることの方が、

「問題」と思われる対応の本質に近づくことになるのではないかと考えます。

事象ではなく、その背景に何かがあるはず。

そうした深さや広さみたいなものはキャリアコンサルタントの事例指導を担うものとして重要なところだと考えます。

 

事例相談者Bは相談者Aに対して嫌味を言いたいわけではないでしょう。

話を囲って逃げられなくするつもりなどないでしょう。

一般化された価値観を押し付けてしまうことがしたかったわけではないのです。

 

もし意識的にそんな問題ばかりを抱えた事例相談者Bだとすれば、

事例指導をうけたいと思えないでしょう。

そもそも事例相談者は事例指導者に怒られそうなことをあえてわかりやすく記述するでしょうか。

 

事例相談者Bは、事例指導をうけるために事例指導者に伝えたいことを事例記録に残すでしょうから、その行動にはキャリアコンサルタントとしての意図性が備わっているのです。

 

そうした事例記録の理解の仕方・読み取りのあり方等は大事です。

次回は問4について具体的に表現してみたいと思います。