前回ブログにアップした記事内容を基に、

第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の問2について、

ひとつの考えを具体的に示してみたいと思います。

 

問2 あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。(20点)

 

前回も書きましたが、

ここで「あなたが考える見立て」というポイントをどのように認識するか、

これは受検者の方によって異なるかと思いますので興味深いところです。

 

事例相談者が、事例指導をうけるためにまとめた記録内容であることを忘れず、

それを基にして考えるプロセスが大切だと思います。

 

「あなたが考える見立て」というものについて、

実際の事例指導の実技・実践をイメージすれば、

先ず、事例相談者を通して事例を掴む過程を踏んでいることが重要だと思うのです。

そうすることで「あなたが考える見立て」が事例相談者の成長に役立つ見立てに近づくのだと考えます。

 

事例指導者(受検者)が、相談者Aの支援担当者になり変わってしまうようなスタンスで、

独善的、且つ自己の価値観やよくある形式的なCC視点等で意見「あなたの見立て」を出しても、

事例相談者の成長にはつながりにくいものです。

 

こうしたところが事例指導の質的なところを左右する醍醐味のひとつだと思っています。

 

事例相談者Bが相談者Aにしようとしていたこと、

支援方針等を最大限に活かし、

一歩でも相談者A の幸せにつながるであろうことを検討したいです。

 

ここで「相談者Aが取り組むべきこと」と問われていますが、

「相談者Aに必要なキャリア形成支援」と言い換えることもでき、

それは相談者Aがひとりでは気付けなかったり、内省が深まらなかったり、

課題をクリアできないところもあるからこそ、

諸々キャリアコンサルタントが側面支援するわけですね。

 

その考える側面支援自体が、

事例相談者Bがやろうとしていること、やりたかったこと、

その支援方針に近いことが大切なのです。

 

一例として以下のように表現することもできると思います。

 

『プロジェクトリーダーの職務を含め、これまでの成功体験やその要因の理解、

そこから導き出せる自己の持ち味や特徴、周囲への影響等の気づきを通して肯定的な意味付けを行う。

「昔から予算管理に対し強い苦手意識がある」ことと過去の予算未達経験との連関をみて、

お金の話にプレッシャーを感じることが相談者Aにとってどんな意味をもつのか、

自己のとらわれ等に気づけること。

改めて予算管理を苦手とする自身を今どう考えているのか言葉にしてみる。

会社のキャリアパスについて認識を深めロールモデルになる具体的事例を知ることと、

家族会議を通し妻や子ども達と今後のライフイベント等について共有し合う。』

 

少し解説すると、事例相談者Bが、

「リーダーとして、部下3人、協力会社2人の5人のメンバーを取りまとめている。」

「顧客とのやりとりや、メンバーへの指示や指導は嫌いではないし、自ら率先してプレイヤーの作業も行う」

という相談者Aの状況を記録に残しているので、

全体的に励ましの関わりをしようとしていることからも、

相談者Aの取り柄や長所を照らしていくような場面を持つことで相談者Aがステップを踏めると考えました。

 

またとらわれの箇所については、

「管理職にとって避けられない業務」

「今いる管理職たちは全員通ってきている道」

「実は私も予算管理は苦手でした」

といったように通るべきひとつの道筋を説いています。

これを相談者Aの主体性を意識した関わりを取り入れることで、

相談者A自身が自己を見つめていくきっかけにもなると考えます。

 

最後に事例相談者Bは、

「もし管理職にならないとすると、どういう未来が見えて来ますか」

「家庭でも予算管理が重要になりますね」

と相談者Aに認識を深めてもらうことや理解を促しています。

これも大事なことだと思いますので、

相談者Aが今の会社でのキャリアパスやロールモデルを具体的に知ること、

家族との話し合いがあることで、

ひとりで抱えている漠然とした課題も整理しやすくなるのではないかと考えます。

 

こんな風に事例指導の場で事例相談者と話し合えると面白いかもしれませんね。

 

次回は問3についての考え方を記事にします。