第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の問2について、
ひとつの考え方から記事にしてみたいと思います。
前回の記事に続けて大事なポイントとして、
問題の冒頭に太文字で説明されている
「事例相談者Bが相談者Aとのキャリアコンサルティングについて事例指導をうけるためにまとめたものである。」
ここを実技として忘れずに考えていきたいと思います。
論述の全ての問いを考える際、
事例を読む際の過程について上記前提を踏まえ、
ここを意識することが事例指導の実技に必要だと考えます。
問2 あなたが考える見立てに基づき、相談者Aが「問題」を解決するために取り組むべきことは何か、記述せよ。(20点)
この問いについて、
「あなたが考える見立てに基づき」という面で、
問1同様(2級試験や国キャリ試験と同じ視点で考えればいい)というような発想でみる場合があるかもしれませんが、
そうなるとこの問2の20点と問1の10点の計30点の試験が2級と同じ?なのか…
そもそも冒頭の説明にある太文字の注意の促しはなんなのか…
こうした疑問を持つことも大切な気がします。
※1級の試験を受けるうえで理解しておく必要がある部分でしょう。
そしてこれは評価細目にある熟練レベル以上のキャリアコンサルティング実践力につながる基礎スキルになるかと思います。
例えば、事例指導の実践において、
事例相談者を目の前にして事例の報告を受けるとき、
事例指導者は2級の論述試験を解答していくような思考プロセスでは、
事例相談者を通した事例の把握がし難いものです。
※事例指導者が事例相談者の問題探しをするような態度で話を聞く場合、
事例相談者の相談者Aへの不出来な対応等ばかりに目がいき、
結局のところ事例相談者を置き去りにして、
キャリアコンサルタントとして相談者Aへの支援はこうするべきだというような発想が生まれやすい。
目の前の事例相談者が相談者をどのように捉えてどんな支援をしようとしているのか、
そんな理解を丁寧に積み重ねながら事例相談者の見立てを中心にして事例の共通視点を深めるかかわりが大事なポイントになります。
つまり相手をリスペクトした話の聞き方(事例の読み方)に徹するわけで、
様々な事例相談者に対し敬意を払い慣れている必要があると思うのです。
だからこそ相互的な作用を想像した自身の見立てが生まれてくるわけで、
事例相談者の見立てをスルーしている自分自身だけの見立ては全く意味を持たないことも多いのです。
相談者Aに会ったこともない事例指導者が、
情報が偏っているのかもしれない事例記録だけを頼りに、
事例指導者側の経験や価値観、一般論のような解釈で相談者Aを数十分間だけでわかったように振る舞うなど、
事例指導においてあまり相応しい見立てとはいえないように考えます。
CVCLABやJCCの講座ではこのあたりを考える場を幾度も共有しています。
特に複雑に考えることではなく、
キャリアコンサルティングを相談者Aにすることが目的ではないため、
問1でも問2でも、目の前の事例相談者Bと事例指導の面接を実際におこなうことをイメージして考えていく過程が大事だと思うのです。
問1において、
こうした視点を意識して相談者Aが訴えた問題を捉えていれば、
問2においても相談者Aが取り組むべきことが、相談者A視点での問題と事例相談者B視点での問題を合わせて、
事例指導者として2人の視点を活かし、さらにプラスの視点等も取り入れながら、
このケースの場合、どんなキャリア形成支援が必要かを考えてみること、
ここであなた(事例指導者)の固有の感じ方が生まれてくるのだと思うのです。
それがあなた(事例指導者)が考える事例指導の実技を支えていくのではないでしょうか。
様々な情報に触れていく中、
自分の感性や発想、自分からあふれて出してくるものを大事にしてほしいと思います。
少なくともこれは試験官の先生方も感じていることではないでしょうか。
そんな風に信じています。
次回は問2について具体的に表現してみます。