1級キャリアコンサルティング技能検定面接試験のためにロールプレイ準備をしたり、
また、実際の事例指導の面接の場面を想定した訓練をしている中で、
その面接を観察していると、わりとよくあるシーンとして以下のようなものがあります。
※イメージのための架空のやり取りです。
事例相談者:それは特に聞いてなかったですね…。
事例指導者:では、もしそれを聞いていたとしたら、面接がどう変化したと思いますか?
事例相談者:…まぁ…聞いたとすれば…何かしら答えてくれるかもしれませんが…
やってみなければわかりませんね…
事例指導者:そうですね。やってみたとすれば…どうなると思われますか?
事例相談者:そんなこと…やっていないのでわからないです。
事例指導者:では、私がクライエントになってみますので、それをやってみてもらえますか?
事例相談者:(ええっ!?ここでお芝居するわけ…嫌だなぁ…)
そこが私のできていないところだといってるのですか??
それをクライエントにすればいいってことですか??
といった感じの場面。
読者の皆さまは、
訓練中や実際の場面で事例相談者役でも事例指導者役でもこうしたシーンに遭遇したことはないでしょうか。
私は訓練を観察していて「もし…したとしたら」どう変わったか?
というニュアンスの質問を事例相談者におこなっている場に出会うことがあります。
決めつけるわけではありませんが、
この手の働きかけが事例相談者の成長的な視点を喚起したというシーンはそれほどないように思うのです。
こうした類の働きかけは、
場合によって事例指導者側の傲慢な誘導になるのかもしれません。
また、事例相談者の主体性を置き去りにしていることにもなることがあります。
勿論、文脈によって異なることもありますので、
そこだけを切り取って考えるわけではありません。
事例指導の面接でもクラエイントとの面談にしても、
相談の受け手側が、自分の思った方向に持っていきたいと考えた時、
話し手(相談する側)に対し、
どこか意図的な反応を導こうとそうした質問をしているとします。
これは、事例指導の質が大きく低下することもあるので注意が必要ですよね。
こんな時にこそ、事例相談者の立場になって集中して考えてみる、
事例相談者を理解していこうと努力してみることが必要なのかもしれないのです。
事例相談者自身がクライエントに対しそのようなかかわりをしていきたいと考えられるのか、
事例相談者の考えや感じ方等に意識を集中し、
事例指導者として発する言葉を丁寧に選んでいきたいものです。