今日も大阪で1級キャリアコンサルティング技能検定の実技面接試験対策講座を開催いたします。
本日は10名の受講者様とお会いできる予定です。
遠方から来ていただける方もいらっしゃいます。
会場までお気をつけてお越し願います。
さて、今回の記事では事例指導のロールプレイで起こりがちな場面を取り上げてみます。
事例指導者(受検者)が、事例相談者の躓いている箇所(問題点等)について、
例えば、
「クライエントの内面にあるものを聴けていない」
「クライエントの気持ちを表面的にしか聴けていない」
「クライエントと意味などの共有が足りない」
と捉えることがあります。
確かにそうですよね…
結果的にそうなのかもしれません。
ここで大切なことがあります。
昨日受講者の皆さまにお話ししたことなのですが、
確かに「気持ちが聴けていない」といった評価ができるのかもしれません。
しかしながら、そのような評価では、
事例相談者の成長・育成に効果的な面接にはならないでしょう。
スーパービジョンでもこれは同じことが言えるかと思います。
事例指導者の役割を担う者が、相談に来たキャリアコンサルタント(事例相談者)に対し、
ネガティブに偏ったアセスメントをしたところで、
それを受ける側は自己成長について動機づけられ難いものです。
たとえ事例指導者がネガティブな言葉を発しなかったとしても、
事例指導者の目つきや表情、態度等から事例相談者に対してネガティブな評価を下していることは滲み出ているものです。
事例相談者に対して『〇〇ができていない』とジャッジするのは簡単です。
そして、事例指導者がそうした態度をとることによって、
事例相談者はやる気が削がれてしまうこともあるでしょう。
大事なことは、
今目の前にいる事例相談者に集中し、観ること、感じることです。
勿論、評価した内容は口頭試問で振り返りながら発せればいいと思います。
事例指導の面接場面の中でキャリア形成支援者をより元気に育てていくためにも、
事例指導者が一貫して保つべき態度として、
事例相談者のやろうとしていることの絶対的な応援者であってほしい、
よき理解者であってほしいと思うのです。
確かに結果として「気持ちが聴けてない」のかもしれない。
それよりも大切なことは、
事例相談者がキャリアコンサルタントとして(こう考えたからこうしたのだ)といった思いや考え、そこに至る過程等があることなのです。
事例相談者に注意を向け、終始丁寧に聴いていく態度をもつことで、
事例相談者のクライエントへの支援内容がきちんと伝わっていくにはどうしたらいいのだろう…といったように、共に考えていくことのできる場になっていくことでしょう。
そうした支持的な態度が持続できるからこそ、事例相談者が自発的に「気持ちが聴けてなかったかも…」という気づきが生まれることもあるかもしれません。
結果として「気持ちが聴けてない」としたとしても、
事例指導者が説き伏せていくことと、自らそのような気づきを得ることとでは、
事例指導面接の起点が大きく異なるのです。
事例指導面接の質が全く違います。
事例指導者の態度は目の前の事例相談者にとってロールモデルにもなることがあります。
指導者なのですから、目の前の事例相談者に実践的にそうした態度を示していくことのほうが、どんなアドバイスや助言等よりも必要なことになるのかもしれません。
初めての30分間の事例指導面接の場であることを忘れないでほしいと思います。