昨夜は日本キャリア・カウンセリング研究会(JCC)主催の事例指導講座を開催いたしました。
前回同様、皆様のお名前や表情等、
その場でリアルに記憶できるほどの少人数制(8名様)で開催させていただきました。
120分間という時間が私にとってとても濃く感じました。
ご参加いただいた方、どうもありがとうございました。
例年この時期のJCC主催の講座では、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験を受けられる方がほとんどです。
自学を進めているお一人おひとりが持つ主体的な力が集まるグループワークでの検討は、
決して一人ではできない本当に濃い内容になっていると実感しています。
本講座は私が講師を務めているのですが、
CVCLAB主催の対策講座とはまた異なる感覚もあり、
学習素材(事例)も違うため、両方に受講いただいている方にとっては、
その異なりに面白味を感じることもあるのではないかと思います。
直近でのJCC主催の特別講座は、
11月29日の夜、1級論述試験直前準備として事例指導の要点をギュッと絞った120分間の学習場面をご提供いたします。
ご関心のある方は以下URLから詳細をご確認いただければと存じます。
https://npo-jcc.org/product/seminar-23pc17/
初めての方でも大丈夫ですので奮ってご参加ください。
皆様とお会いできることを心から楽しみにしています。
さて、昨日の記事に続けて、
今回は事例相談者の意図した行動(発言やかかわり等)が、
相談者に与える影響について考えてみようかと思います。
この視点も1級キャリアコンサルティング技能検定の論述試験で必要になってきます。
そしてこれは決して早まった評価をすることではありません。
ポジティブな影響もネガティブな影響についても、
そこにかかる現象だけを評価しても意味がないと思います。
重要なのは、事例相談者が記録にできていることは、
相談者との面談をそのように掴んでいるということにもなります。
ですから、記録に書けているのにその点を深めないということは、
別のところにフラグが立ちそれを優先させている対話方策をとっているのかもしれません。
そうした現象があるのはなぜなのか、
事例相談者の記録の全体を捉え直してみることで見えてくることもあります。
事例指導者が気になったところを焦点化して、その周辺だけを行き来したところで、
事例相談者の意図とその行動とのつながりが一面でしか捉えられなくなってしまいます。
もう少し事例相談者のキャリアコンサルタントとしての理解に努めていく必要があります。
事例を読む角度を変えてみたり、視座を変化させてみるだけで、面白い現象が起きます。
※そんな映画がありましたね。
(ある出来事をそこにいる様々な役割の人の視点から何度も再生する映画です。
それぞれの人が皆主役というイメージですね。)
事例指導者としてこうした過程を大事にできるからこそ、
事例相談者のしたことが相談者にどのように受け取られていそうか、
その受け止め方はどうかといったより精度の高い推測が事例指導者としてできるのだと思います。
こうした段階を深めていくと事例指導者の見立てが、
事例相談者と共有されやすくもなります。
論述も実際の事例指導面接とこうしたプロセスは同じです。
事例指導者が事例相談者の事例を読み、
「事例相談者がここで相談者にこうしている。これじゃあ相談者も納得できないよね。」
「こんな時にキャリアコンサルタントからこんな関わりをされたら相談者は悲しいでしょう。」
といった類の評価をすることがあります。
それこそ、
事例指導者側のその考えや発想が、事例相談者にどんな影響を及ぼすのか…
立ち止まって少し考えてみたいものです。
事例相談者自身が自分の行動(対応等)の是非をどのように考えられるのか、
事例指導では、これは他人事ではなく事例指導者のかかわり方に責任があります。
関わり方によって事例相談者の主体的な見方も変容するのだということを、
事例指導者がわかっていないと共有できるものもできなくなります。
事例相談者の意図した行動が相談者に与えた影響はなにか。
相談者に何をしたことになるのか。
これを考えてみるとき、
事例相談者の問題や指摘箇所を見つけるためだけにやっているのではなく、
それ以上に事例相談者のやる気ポイント(成長チャンス)を見つけていくためにやっているのだという具合に考えてみてもいいでしょう。
できているところ、できなかったところ、継続したいところ、挑戦してみたいところ、
わからなかったところ等々、
こうしたいろんな視点を事例相談者の立場で自分事のようにみてみると、
事例相談者を尊重した事例指導プランが立てられるかもしれません。
論述ではそんなところも大切にしたいですね。