事例指導とは、
相談者(クライエント)の問題を事例指導者が見立てたり支援方法などを模索していくセッションではなく、
事例相談者(キャリアコンサルタント)が相談者への支援を通して自己の振り返りをより適切に深めていく営みであるといえます。
その過程の中で事例相談者が自己の成長課題を見つけ、
その課題をクリアしていくための側面的な支援を行うことも事例指導者の重要な役割となります。
勿論、事例検討的に事例指導者が事例相談者を通して事例に介入することはあります。
少し表現を変えれば、
事例指導者として事例相談者の事例に接している段階で、
事例指導者はすでに事例の中の相談者やその関係者等に介入していることにもなるでしょう。
大事なのは、事例指導の目的は、
事例検討ではなく、事例相談者自身のキャリア形成支援者としての成長を促すことだというところです。
1級キャリアコンサルティング技能検定試験においても、
事例指導のあり方について意識しておくことは必要です。
前回の記事の続きとなりますが、
事例相談者の成長的目標を定められたら、
その目標達成のためには方法やその内容を企画していく必要があります。
方法はアプローチ等、やり方に近いことを示し、
その内容を具体的、且つ簡潔に表現できるといいですよね。
例えば、
事例相談者の成長目標として相談者の思いや抱いているものをより深く照らしていくようなかかわりを目指すとすれば、
方法として、
「対話場面を共同分析」するやり方、
内容としては、
記録から相談者の内面があらわれている箇所を抽出したり、
その前後にある文脈からなにが読み取れるか等をお互いに話し合ってみることが、
事例相談者の考え方を広げていく効果が期待できると思うのです。
そして内容を示す際、
事例のどこを使ってなにをするのか…
ということを具体的に描けるといいと思います。
このブログではあくまでもひとつのやり方や内容でしか書けませんが、
多様な考えができると思いますので、
読者の皆様も色々と検討を重ねてみてください。
なお、論述でありがちな解答に、
「役割交代法」「ロールプレイで体験」
といった表現もあります。
どの事例相談者に対しても同じ方法を記述するのでは、
論述試験の対策をしていて面白くないのではないかと思います。
より多くのバリエーションをもって臨みたいところです。
これは心理学的視点からみた会話分析等の基本参考書等から刺激を受けておくこともよいかもしれません。
または日本語リテラシーや新たな言語学といったテーマをもつ学問等でも役に立つことがあるかもしれません。
「キャリア」というワードを狭めることなく、
あちこちから幅広に学びのエッセンスを得られるように活動を広げたいところです。
ご一緒に頑張りましょう!