対人支援の学習を進めていく際、
相手のことを「わかろうとする」という表現をとることがあります。
筆者もそうした姿勢を大切に信じて幾度も使用しています。
しかし…
みる角度を変えて実践的に考えてみると、
なにかを「わかろうとするため」に学んでいるわけではないということに気づきます。
例えば、相談者(クライエント)へのキャリア形成支援を考えていくとき、
相談者のことを理解しようとすることが重要であると考えることが多いのですが、
そうではなく、相談者のことをわかっていない自己を知ることのほうが余程重要であるということに気付かされます。
先日スーパービジョンを受けて考えたことです。
そしてこれは態度に表れると思います。
勿論、事例指導の指導実践でも同じことがいえると考えます。
事例指導者が知っているという態度を持っている場合、事例指導が効果的に働きません。
かといって「私は何にも知らないからあなたが考えてね」
といった無責任な振る舞いでは、事例指導に臨んでも意味がないでしょう。
つまり、目の前にいる事例相談者をわかろうとし続ける態度が取れるということは、
終始、事例相談者のことを理解していきたいと真に思えているからだと思います。
その根底には、
事例相談者のことをわかっていない自分を事例指導者自身が知っているからでしょう。
たった数十分間程度、少し話しをしただけでわかるわけがありません。
ましてや、事例記録に登場する相談者(クライエント)への見立てや支援方法など、
事例指導者側の知識や経験値等から決めつけてしまうことのないようにしたいものです。
キャリア形成支援を実践していくには、
様々な角度から心理学を土台にして学び続けていくことが必要であり、
「わかっていなかったのだということを知る」
ことが対人支援において一番に重要なことなのかもしれません。
知っているように振る舞うことがあれば俄かには信じ難いものです。
1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験受検についても、
そうした態度や姿勢を本当にもてることが何よりも大事なのでしょう。
ベテランになればなるほど薄れていくスキルや態度にもなるように思います。
※このブログは自省の記としても機能させています。