昨日の記事内容に続いて、
今回は事例相談者(CC)がキャリア形成支援者として抱えている問題を把握する過程を含めて考えてみたいと思います。
事例指導実践では、
事例相談者(CC)が自らまとめた事例(ケース記録)から、
よりよい面談を目指すための改善点等を共同作業で見つけていきます。
事例相談者自身が気にしている点と改善点のつながり度合いが高いところを優先しながら、その本質をつかみ、他事例にも置き換えながら、
事例相談者の成長課題を明確に共有できることが必要です。
そしてそれは事例相談者の専門家としての特徴や強みを加味したうえで検討されていくべくものであり、
またこれは、持ち込まれた事例の検討に留まることではありません。
事例相談者(CC)の能力を育むためにも、
こうした側面的な支援ができることが事例指導者に必要な指導実践力となります。
また1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験でも同様に、
こうしたポイントは必要な評価項目にもなり、
当然に論述の設問でも問われることにもなるかと考えます。
事例相談者(CC)が抱えている問題を把握していく際、
事例指導者の視点で何かを教えていくようなかかわりは、
事例相談者(CC )の成長支援として優先にはならないでしょう。
「教える」よりも「育てる」を優先した指導者のあり方を意識できることは重要です。
だからこそ、事例相談者(CC)が抱えている問題を考えるときは、
事例指導において論述であろうと面接であろうと、
事例相談者(CC)の視点を理解していくかかわりが重要になります。
そのうえで事例指導者は、事例相談者(CC)が気になっている点を意識しながら、
いくつかの成長ポイントをとらえ、
そして事例相談者(CC)が主体的に取り組みたくなるような課題設定ができる
そのセンスみたいなものが必要になります。
なお、ここで使ったセンスという言葉は、
世の中の事例相談者(CC)の育成を真に目指す事例指導者を生きようとする方であれば、
どなたでも磨いていくことのできるセンスだと考えています。
1級キャリアコンサルティング技能士の資格は限られた人だけが取れる検定資格ではなく、
常にクライエントのためのキャリア形成支援のあり方を考え、
また、よりよい支援実践を目指そうと常に努力を惜しまない方、その覚悟をしている方、
だからこそ事例指導が必要であると真に考えている方であれば、
その全員が取得できる資格だと信じています。
事例指導とは、事例相談者(CC)自身のより適切な振り返りの場です。
よい事例指導面接の実現、その手柄は全て事例相談者(CC)にあります。
事例相談者(CC)に言い訳をさせるような場ではありません。
だからこそ、事例相談者(CC)が抱えている問題を問われた際、
事例指導者は事例相談者(CC)の育成に責任をもって、
実践的な過程を踏んで考えていく必要があるのだと考えます。
次回は、事例相談者(CC)の成長支援のための目標設定のあり方、
そしてその方策等についての考えを記事にしてみたいと思います。