記事のタイトルについて、

このブログを始めてからずっと書き続けていることなのですが、

改めて、過去問を使い事例指導の実技として検討してみたいと思います。

 

今回は必須問題の問1についてひとつの考えを記します。

 

問1 この相談者Aについて、どのような問題があるか、あなたの考えをその根拠を含めて記述せよ。

 

ここで「この相談者Aについて、どのような問題があるか」について、

「あなたの考えを」と問われていることから、

受検者視点だけで「この相談者A」を多面的にみていけばいいという解釈をすることがあります。

多面的というのは、その対象に対し自分が諸々の面からみていくことになり、

いかにももっともらしい解釈のような感じもします。

 

ここで必要なことは、

この事例を読んで問いに答えるという点です。

事例相談者が事例指導を受けるためにまとめた事例を扱うとき、

事例記録の掴み方として大事なことは、

キャリアコンサルタントである事例相談者をできる限り知ることでしょう。

 

この事例相談者が相談者Aをどのように捉えているのか、どんな見立てを行い、

そしてどんな支援をしようとしているのか。

こうした過程と同時処理的に事例を把握していく必要があるのです。

 

つまり「あなたの考え」と問われていても、

事例指導を行う目的が根底にあるのですから、各者の立場でみる力が必要になります。

多角的な視点を「あなたの考え」として示すことが大切だと思います。

「相談者Aについて、どのような問題があるか」と問われていますが、

実践において、事例相談者がまとめた事例記録の情報や報告内容だけで、

事例指導者が自身の視点のみで相談者Aの問題を判断することはありません。

 

相談者Aの立場でどのような問題があるか、

事例相談者の立場で相談者Aについてどのような問題を捉えているのか、

この両者の状況等から事例指導者として相談者Aについてどのような問題があると考えるか、

 

こうして実際の事例指導では、

目の前に相談にやってきた事例相談者の考えを中心にして、

相談者Aの立場や事例相談者の立場を行き来しながら問題を整理していく段階を踏みます。

 

これが必須問題の問1で問われている要点につながると考えるのです。

※筆者の考えで記事を書いています。

 

相談者Aに対して、

事例指導者一人の視点で多面的に考えることだけが「あなたの考え」となるのであれば、

それは実技として実際には役立たないでしょう。

 

なんといっても、

この目的は事例指導を受けるために事例をまとめた事例相談者の成長と、

事例相談者の成長に伴い相談者へのより良い支援を目指すことにあります。

 

必須問題でも、事例指導の実技としての問題設定ですから、

事例指導の過程を考えた活きた解答を目指したいものです。

 

次回の記事では必須問題の問2について書いてみます。