第12回1級キャリアコンサルティング技能検定試験の論述過去問を活用して、
キャリアコンサルタント同士での事例指導実践場面をイメージしてみたいと思います。
今回の記事から、事例4:【選択問題(教育機関分野)】を数回に分けて考えていきます。
さて、過去問の事例を使い論述試験に向けた準備を進める際、
選択問題の中で、自身に関心のない分野の事例について、
《目を通したこともない…》ということがあるかもしれません。
事例指導者の実践を考えてみれば、
選り好みすることなく、なるべく全ての分野の事例に触れておくことは必要だと思います。
専門分野・領域等でのより特別な支援が必要なケースであればまた別ですが、
1級で求められている事例指導の基盤となるようなところでは、
事例相談者の活動領域や事例内容等にそれほど左右されない視座や視点が大事です。
ケース内容の検討ではなく、
事例相談者を一人のキャリア形成支援者としてみること、感じること、
その行動を理解していこうと考えてみること、
つまり、事例指導を受けるためにきたキャリアコンサルタント自身に焦点化した場であることを意識したいです。
これは論述も面接も一緒です。
例えば、これから取り上げていく事例4は教育機関分野なので、
日頃、教育機関に関係のないところで活動をしている人からすれば、
事例の内容が難しく感じたり、教育分野における情報や基本的な知識等が乏しく、
どうしても縁遠く感じたり、考え難い感じがあるのかもしれません。
本来、教育でも需給でも企業でもなんでも…
各分野・領域で活動しているキャリアコンサルタントの育成には、
共通して考えていくことのできる重要なポイントがあると思うのです。
その基礎となるキャリア形成支援者としての共通項から、
事例相談者が自らの成長ポイントに気づいていくことが事例指導の醍醐味なのです。
このように考えてみれば、
例えば、今回のこの事例(第12回事例4)についても、
そのケースの内容において事例指導者側に知識が備わっていなくとも、
事例指導の実践を考えていくことできます。
事例指導者がその特定された分野において知識豊富でなくても、
効果的な事例指導はいくらでも実現可能です。
事例指導者が大したことを知らなくとも事例相談者は成長できるのです。
今回の事例4のように、
相談者が短期留学で半年間留学、同級生とは半年遅れのこの9月に卒業予定。
その2ヶ月前にキャリアセンターにやってきた。
来年の4月入社を希望していてできれば大手上場会社がいい。
就活はこれまでほとんどやってきていない。
というように、
相談者にとってやや不利な感じの内容に感じられたり、
またそこに輪をかけ、事例相談者が一般化した感じの表現を連発していたり、
こうして事例の事柄ばかりや、
また、キャリアコンサルタントの不出来な行動(対応)側面に注意が向く傾向のある方は、
今一度、事例指導とは何をするのだろうか…と考えてみた方がいいと思います。
字面だけでなく考えを膨らませていけることが、
何より、この学習の面白いところだと考えます。
次回の記事から、各問につながるところを考えてみたいと思います。