昨日に続き、
本日も横浜にて1級キャリアコンサルティング技能検定試験の対策講座を実施いたします。
受講いただける方、どうぞよろしくお願いいたします。
会場までお気をつけてお越しください。
昨日は第12回の1級論述過去問の事例を活用して受講者の皆様と一緒にあれこれと見立てを行い、
楽しく、また深い時間を過ごすことができました。
ご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。
そして、本日と明日、
また異なった感じ方や考え方が体験できると思うと胸が躍ります。
講師にとって格別な喜びでもあります。
さて、本日のタイトルについて、
昨日の講座の中でも触れていることを少しだけ記事にします。
キャリアコンサルティングを学んでいると、
自分たちの世界での共通なる捉え方に物事を収めていこうとする傾向が出てくることがあります。
例えば問題探しです。
一例になりますが、
《妻は専業主婦なので家族を養う必要もあります》
という相談者(クライエント)の気持ちが表れた発言が事例に記録されていたとしましょう。
※第12回論述問題事例1を参考にして書いています。
こうした字面から、
我々がつい考えてしまうことのひとつに、
「妻は専業主婦なので…」って言ったって、
奥さんだって働きたいかもしれない、
きちんと奥さんと相談して、
今後のプランを立てて協力してもらえばいいのに…。
ちゃんと話してるのかなぁ…。
こうした考えを土台にして、
コミュニケーション不足、マネープラン不足、ねばならない思考が強く一人で抱え込んでしまっている、思い込みから視野が狭い…等々。
キャリアコンサルタントあるある言語を使い、
お互いに意見を述べて理非を論じ合っていることがあります。
「家族ともども昔からパンが好きで…」
と言ってもそもそも好きと独立とは違うでしょ…。
勝手に家族を巻き込んでしまっているよね。
※第12回論述問題事例2を参考にして書いてます。
このような考えが浮かんでくることもあります。
ここでは一部しか記事にしていませんが、
読者の方はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
相談者(クライエント)が発している言動には、
実に様々なメッセージが込められていることが多いものです。
これをどのように事例相談者がキャッチしているのか、
また実に興味深いところにもなります。
同じその言葉を受けても、
それぞれで皆、価値観等からくる認識が異なってくるから面白いのです。
上記にお示しした例ですが、
「妻は専業主婦なので…」
という言葉が相談者から発せられたのであれば、
相談者と奥様との年月の関係の中で何が積み上げられてきたのか、
それがその言葉となって表現されたのかもしれません。
ただ専業主婦なんだ…と認識するのでは全然わかりません。
何年、何十年と一緒に暮らしてきている奥様のこと、
家族のシステムの中で出来上がっていった相談者がもつ固有の感じ方、
様々な背景等があって、その言葉を使った発言だったりすることがあります。
なにかと一般化したものの見方で、
奥さんにも働いてもらえばいいとか、
奥様と話し合って協力してもらうだけでも違うとか、
それでは相談者の理解を深めていくことができないことも多いのです。
家族ともども昔からパンが好きなので…
という言葉をそのまま家族ともどもパンが好きなのね…と理解するのではなく、
すぐにわかったつもりにならないことが事例指導者の一歩だと感じます。
そこに込められたメッセージには何があるのだろう。
特段パン屋ということではないのかもしれませんね。
相談者が今、思い描いている理想のあり方、
家族との過ごし方、これからの奥様との生活について、
自己の年齢等やコロナ禍をきっかけにして、
あれこれと思いながら表現しているとすればどうでしょうか。
ちょっとお伝えするのは恥ずかしいのですが…
と一言あったのだとすれば相談者にとってその意味があるのだと感じます。
そして、
ここで我々の大きな課題があると思います。
事例指導者の役割を担う者が、
事例相談者の相談者への対応として、
そのようなところが聴けてないんだよね!
とジャッジメントするのでは意味がない気がします。
事例指導者の前に座っている事例相談者の成長を目的に、
事例指導が効果的に行われることが大切です。
できていないことが問題ではないのだということです。
ここができていない、あそこができていない、
こうした表現をする論述解答が比較的多いと聞きます。
どのような問題があるか、あなたの考えを記述せよ…と問われていることに対して、
2級キャリアコンサルティング技能検定と同じ水準でケースの問題を考えていては、
実際の事例指導の実技にはならないでしょう。
せめて、
事例相談者が記録でこの辺りを掴めている(記録することができている)のに、
そこに注意を向けることなく、
なぜ異なるところにこだわっているのか…
相談者の気持ちの表現があるのに、
その話しを深めていくようなかかわりをなぜしていないのか…
全てに事例相談者の意図性があるかもしれません。
少なくとも事例相談者は相談者とリアルでお話しをしているわけです。
事例指導者が持つ参照枠で評価を下し、
それを問題とするというのはあまりにナンセンスでしょう。
事例相談者にはその意図があり、
そこにつながる対応や応答をしていると思います。
そしてそこには相談者の反応や応答もある。
その記録の文脈や反応等から相談者側の受け止め方も推測できそうです。
事例相談者と相談者の関係性がどのように変化しているのか、
それはどんなことがきっかけになっているのか、
事例相談者がそれらをどのように考えているのか、
このように指導者として事例相談者との相互作用を意識しながら考えていくことが、
論述を実技試験としてみていくあり方のひとつだと考えています。
本日、明日と横浜で参加いただける方、
この記事をお読みいただいていたらぜひリアルに体験していただきたいと考えています。