本日から3日間、

横浜にて1級キャリアコンサルティング技能試験対策講座を開催いたします。

ご予約をいただいた方、どうぞよろしくお願いいたします。

会場でお会いできることを楽しみにしています。

 

さて、本日の記事タイトルですが、

先日大学でキャリア形成支援者の基本を考える機会があり、

そこで投げかけたテーマについて少し触れてみたいと思います。

 

人が他者に相談するのは、

なにか困ったことがあったときや物事の判断がつかないとき、

参考になる意見を求めているとき、

解決のためにサポートしてほしいとき、

アドバイスがほしいとき…

等々、

諸々目的があると思います。

 

ただただ、

わかってほしくて話しをすることもあるでしょう。

 

例えば、

どうしたらいいのかわからないときほど、

困惑している自身の状態をなんとか言葉にして他者に話すことで、

どうしたかったのかが自己の中で整理されていくこともあります。

 

このような基本的なことを

事例指導の場面でも事例指導者ができることが大事だという話しをいたしました。

 

事例指導というと、

なにかと肩肘張って事例指導者が事例相談者に対し

《アドバイスや助言をおこなうこと》という姿勢が出てしまい、

結果、事例相談者の成長の邪魔をしていることになっているケースが多いと思います。

※一例として論述試験の解答等にもそうした姿勢が顕著に出ていることもあります。

 

自分のことについて、なにか相談をするというシーンは、

一人では乗り越えられないような悩みなどが生まれたときが多いのではないかと思います。

また、相談すること自体を躊躇することも多く、ひとり抱え込んでしまうこともあります。

 

少しそれますが、

キャリアコンサルタントの活動における専門家としての悩み等は、

これからの相談者(クライエント)支援の質的向上等を目指すためにも、

スーパービジョンや事例指導を必ず受けることが大事です。

当然ながら普段の人の相談とは同じことにはなりません。

 

閑話休題、一般的になにか悩みが生まれたとき、

相談という行動をとる人は凡そ半数くらいの方でしょうか。

※某民間調査会社のオンラインデータ等から幾つかを統合して抜粋。

 

最近ではネット上でつながっている会ったこともない人への相談やAI活用、

また、ネット上の情報検索等も相当に増えているので今後注目していきたいところです。

 

リアルな相談相手について、

キャリアコンサルタントやカウンセラーなどの専門家に相談するという行動をとる人は、

なんと、占い師への相談とほぼ同程度の割合だといわれていることもあります。

※パーセントに表現すると一桁台だったりするようです。

私自身、世間にある数値データ等は批判的な立場で、あくまで参考程度に記事にしました。

 

なにはともあれ、

圧倒的に友達や知人に相談することの方が多いという実態があるのが実態でしょう。

 

さらに、上司へ相談というわりとハードルの高い行動ですら、

キャリアコンサルタントやカウンセラーに相談するよりも多いようですね。

 

キャリアコンサルタントが所属・活動している分野等によって、

《うちでは従業員の誰もが相談できるようになっていて相談件数は多いけどね》

という意見もあるかもしれません。

それはご本人が実態を把握しきれていないだけということもあります。

全体で見るときは自分の枠組みを外して考えてみる必要があります。

 

改めて…

 

人への相談の効果というものは、

相談を受けた側の解釈で相談者の解決に導くわけではないでしょう。

 

《相談者の問題をなんとか把握して適切な解決策を提案しなければ…》

というように偏った認識で活動を続けていると、

キャリアコンサルティングの意義が益々薄れていってしまう可能性もあります。

 

この程度であれば、友人や知人に相談した方が、

相談する側の気持ちを相応に理解してくれようと心がけてくれることも多いのかもしれません。

 

特段、傾聴トレーニングを受けていない一般の方が相談を受けた方が、

相談する側にとって気が楽になったりすることもある。

 

なんとも残念な話しです。

※これは実際にごく普通の方々から示される見識だったりします。

 

キャリアコンサルタントが前のめりになり過ぎて、変なお節介になってしまったり。

キャリアコンサルタントがもつ専門知識や経験などの参照枠ではかられていくこと自体、

相談する側にとって違和感や居心地の悪さを覚えることも多いものです。

 

真に問題解決だけを求めているのであれば、

具体的なニーズに合わせて支援すればいいのかもしれません。

 

しかし、

心理的要素を含んだその人にとっての複雑な問題や悩み等は、

終始徹底した傾聴が必要なことがほとんどです。

 

相談者が相談をして自己の力を発揮できるようになるのは、

相談を受ける側がなにかを考えて展開していくことではありません。

相談を受ける側が相談者を全人格的にわかろうとし続けていくことだけです。

 

これは事例指導でも一緒だと思います。

 

こうして考えてみると

《事例指導でなにをしたらいいのか…》

などと考える必要すらないことに気づけるのかもしれません。