4月3日付でキャリアコンサルティング協議会技能検定のホームページに、
第12回1級キャリアコンサルティング技能検定実技試験に関する試験官から観た受検者の傾向が掲載されました。
※2級も同時に掲載されています。
※ホームページURLを貼っておきます。
https://www.career-kentei.org/info/15631/
今回は論述試験と面接試験に分けて掲載されているため、
前2回分の資料と比較すると踏み込んだところまで記されています。
なお、資料は今回を含めて3年連続で掲載されましたので、
全て手元に残していらっしゃる受検者の方は多いかと思います。
※以前はこうした資料が公開されたことはありませんでした。
※第10回の資料は現在外されています。
概ね、毎年類似した点を指摘されているようにも感じます。
※それだけ1級受検の取り組みの重点がわかりやすいともいえるかもしれませんね。
興味深いところのひとつとして、
念を押すように、
「合否判定結果とは一切関係ありません」
「試験の合否について説明するものではない」
とあります。
勿論、試験実施機関として、
そのように表現しなければならないような諸事情等もあるかと想像します。
試験官の先生方が受検者の方へ少しでも参考にしてもらいたい、
間違った勉強方法や試験準備等をしてほしくない…
といった思いなどから、
試験実施機関として可能な限りのリスクを踏まえ、
なんとかして公開している資料なのだと感じるところもあります。
ただ「採点官から観た受検者の傾向」と冒頭に記されているので、
(一切関係ない)
(合否について説明するものではない)
と記されていても受検している立場からすれば、
どこか違和感を覚えてしまうところがあるかもしれませんね。
協議会から公式に出ている資料なので、
受検者側からすると過度に意識が高まってしまうこともあるのかな…
と感じました。
※勘違いとか思い込みを強めてしまう作用が働くことがあると思います。
同じ論述問題等でも、
それぞれ受ける刺激に対する捉え方や解釈等が異なるように、
資料一つとってみても、個々の文字情報の捉え方や認識の異なり等によって、
その意味の解釈が大幅に変わることも多いにあります。
資料内容が受検者の方にどのように影響を与えるか…
をある程度想定されて公開しているのだと思います。
その影響なりを期待している面(成長期待等)があるからこそのアクションでしょうし、
また1級技能検定試験で求めていることを、
もう少し深く理解してほしいと考えているからこそだと考えます。
ただ、それほど期待通りの同資料の掲載効果が得られなかったのか…
だからこそ、こうして掲載を続けるのだと感じます。
「カウンセリングスキルについて日々磨いて」
「カウンセリングの基本姿勢は忘れないで」
と記されている資料です。
受検者の心理を十分に理解されてのメッセージだと信じています。
ブログ読者の皆様はこの資料を読んでなにを考え、なにを感じたのでしょう。
ご自身の気持ちやその時の考えの動きをメモにしておくことも重要です。
自身をモニターするためにも試みてほしいと思います。
私が資料を読んで感じたことのひとつを記します。
少し距離を置いて読んでみると、
最初に少しほめた内容の後、「一方」と記され、
ネガティブな側面を解説をされている表現パターンになっていると感じました。
これは結局、ほめているところは然程意味がなく、
ダメなところに注意が向くようになっているように思います。
過去の掲載資料3年間、ずっと同じトーンで表現されていますし、
あえてこうした表現をされていることが伝わってきました。
ここで辻褄が合わない内容になってしまうこともあるように思います。
※資料を否定しているわけではありませんので…汗
例えば、
今回の資料において、論述の1ページ目に記されているところで、
「相談者や事例相談者ではない、指導者としてのあなた(受検者)からみたこの事例相談者の問題は何か」という表現。
この文章の後、
「折角、相談者の訴える問題や事例相談者の課題を前段で適切に捉えているにもかかわらず」
「相談者の訴える問題や事例相談者の課題と整合性が取れていることが支援では重要」
と記されています。
あれ?
と考えてしまう人もいます。
同じ必須問題のことについて示してくださっている内容なのですが、
整合性が取れなくなってしまうこともあるかもしれません。
事例指導のセッションを実践的に全体で考え、
事例指導者として複眼的な視点で考えている人もいます。
つまり、論述試験の設問の一つひとつのつながりを全体で意識していくと、
相談者、事例相談者それぞれの立場に立っての視点を
「あなたの考え」として把握し、それを表現することも現場では必要です。
ところが上記の通り、資料内容の受け止め方によっては、
一つひとつの設問がつながっていかなくなることも予想されます。
大雑把な表現ですが、
上記前者の「相談者や事例相談者ではない」という指摘に注意が偏る人にとっては、
相談者とか事例相談者などの視点は無しにして、
ケース記録情報から事例指導者としてみた相談者の問題だけを、
「あなたの考え」として示しなさいと言われているように捉えてしまう方もいます。
これでは「あなたの考え」の視点を狭めてしまうことにもなります。
実技として何事も複眼的な視点がとても重要で、
こうした内容を受けると鵜呑みにして実践的な考えが揺らいでしまう受検者も存在するかもしれません。
各設問のつながりを事例指導の面接実践全体から意識できる人にとっては、
今回の資料の内容に疑問を感じることもあると思いました。
※私の感じ方です。
第12回の論述試験で、
70点や80点ほど得られている方の論述解答内容が、
今回掲載された資料と一致しているかというと、
必ずしもそうでもないところがあるようです。
すると、確かに、
「合否判定結果とは一切関係ありません」
「試験の合否について説明するものではない」
と理を示されていることにつながる気もします。
ただ受検者の発想力が狭まっていくようなことになると、
益々本質的なところから外れていく気もします。
試験のための対策的取り組みをするのではなく、
試験の準備も学びも実践的に考えていくことの重要性と、
それにはひとつの正解ややり方、
ひとつの考え方だけにおさまらない、
無限にもその考え方の可能性があるということをわかっていることが重要です。
そして「自分の考え」だけを主張すればいいということではなく、
何事も「目の前に存在している相談している人の立場で物事を考えてみる」ことの重要性を、
論述であろうと面接であろうと、
より立体的に認識できるようなメッセージの受け止め方が必要なのではないかと感じました。
結果として1級実技合格といった当然なる過程を経ていくことになるのだ…
ということを、
受検者の方がよく理解されていることが重要な気がします。
この記事は掲載資料自体をネガティブに伝えているわけではありません。
受検者の方、
そして現在の1級ホルダーの方にも重要な存在にもあたる大切な資料だからこそ、
真剣に実践的な視点からの意見をお互いに伝え合える場が必要だと思います。
私たちは試験のためだけに学んでいるわけではないので、
もう少し実務的な側面から表現をするとどうなるのか、
この資料を活用し、我々自体がそうしたことを熟考できることが大事だと思うのです。