昨日、事例指導オンライン公開ライブセッションにご参加いただいた皆様、

貴重な時間をありがとうございました。

心から感謝いたします。


また、事例(ケース)をご提供いただいた〇〇様のおかげで昨日の学びの時間がとても充実したものになりました。

重ねて御礼申し上げます。

 

10時から13時の180分間の長い時間、

最後まで全参加者様(62名の方)にお付き合いいただきました。

 

当日体調を崩されたりお仕事でご都合がつかなくなったり、

また季節柄、想定外の新生活準備が必要となり参加できなかったり…と、

当日ご欠席になられた方が計8名様いらっしゃいました。

※欠席されたすべての方からご丁寧に連絡をいただいています。大変なときに恐縮です。


またいつか機会を作りたいと思いますので、

その際は真っ先にお声がけいたします。

 

一夜経ち、昨日の参加者すべての方が、

様々な刺激をお持ち帰りいただけたのではないかと改めて振り返っております。


皆様の感じたことや記憶を可能な限り言葉にしていただくように、

セッション終了後に休憩を挟み20分間のグループワークを取り入れました。

10グループから一言づつ発表いただき、またそこに事例提供者様のご意見なども添えていただいています。


全てのグループでの共通点がたくさんあり、

また少し異なる視点での発表などもございました。

とても豊かな時間だったと感じています。


そして、あるグループから少しモヤモヤした側面でのご意見として皆様に共有いただいた内容がありました。

それも私は大事なポイントになると考えますので一つご紹介いたします。

※この視点で勇気を出して皆様に共有してくださったグループ代表の方、本当にありがとうございます。

 

なお、

昨日の公開セッションはロールプレイではなく、

実際の事例指導のオンラインライブ面接を公開しています。

※ただし1級の面接試験同様に30分間の設定の中で面接を実施。

 

これを前提にこの先をお読みいただけると、

より考えやすいかと思います。

 

そしてそのご意見のご紹介に入る前に、

少しお話しがそれますが関連することなのでお付き合いください。

※決してネガティブな方向でのお話しではなく、私たちが考える必要のある建設的なポイントです。

 

私は企業組織の研修の中で、

例えば、

接客ロールプレイを指導することもあります。

 

時々、

(現場の接客と研修時でのロールプレイとでは現実感とか緊張の度合いとかまるで違う。

そしてお客さん役も、実際のお客さんになりきれないし、

ロールプレイってなんだか現実離れした茶番劇にしかならない気がする。

さらにロールプレイの感想や意見を交換しても大雑把でお互いに気を遣いすぎて何も効果が感じられない。

このような時間より現場での経験を重ねていく方がよほどマシではないだろうか。)

というご意見を持つ人がいます。


読者の方はいかがでしょうか?

伝わるものがありますよね。


多分、ある程度熟練度のあるキャリアコンサルタントの方であれば、

このような類の話しは、

『あぁ…それはね。ロールプレイの大切なところを知らないだけだね。』

と冷めた感じに思うかもしれません。


ただその人の何かの経験に基づいてお話しされているわけですから、

それは実に興味深いし、

もちろんそう考える人が普通なのかもしれませんね。


多くの人に対して少し見方を変える働きかけをしてくれる勇気でもあります。

 

ここで強引な表現をしてみますが、

これはキャリアコンサルティングのロールプレイでも同じことがいえます。

 

私たちキャリアコンサルタントは、ロールプレイ訓練は避けて通ることができませんが、

その時、多くの方がキャリアコンサルタント役の面接内容に注目しています。


クライエント役の人も、ロールプレイの場合だと、

キャリアコンサルタントの面接が上手いか下手かみたいなことに注目をしてしまい、

本当に大事なクライエント役である自身の感情の動きや、

その時に自分自身が何を考え何を言おうとしていたのかなど、

自分を見つめていく感覚を味わっていくことよりも、

目の前のキャリアコンサルタントが何をするのかをなんとなく試してみているような感覚に陥ってしまいます。

 

そうした状態にあるクライエント役の方とロールプレイを行うために、

キャリアコンサルタント役をやる人も、自分がうまくできるかどうか、

下手な面接をしたら恥ずかしい、周囲の目が気になって仕方がない、

目の前のクライエント役に嫌われないようにうまく立ち回りたい、

こんな風に自分が主役になっています。


その場でそうなっていることにお互いに気づくことに意味があるのです。


その面接を観察する人も本来は自分自身を主役にすることが大事なのですが、

どこか他人事になってしまうことがあります。


キャリアコンサルタントからその場でそのようにかかわってもらったら、

自分の中には何が起こっていくのだろうか…

その問いかけに何を感じるのだろうか…

目の前のクライエントは自分と同じような刺激を受けているのだろうか…

それはどうしてなのかな…

などなど、

キャリアコンサルタントのテクニックに注意を向けず、

クライエントの内面と自分の内面とを照らして観ることが最も大切な訓練だと考えます。


そしてこれは事例指導の面接にも置き換えることができると私は思います。


昨日のセッションの観察のポイントは、

事例相談者と事例指導者が如何に本当の時間を過ごしていたかを真剣に感じるところにありました。

 

観察する側が、

(すごい事例指導)(うまい対応)等を期待して、

評価するような価値観や視点で観ているとすると、

実際の現場での実践が目の前にあっても(なにをしたか)くらいまでしか観ることができなくなります。


昨日、共有されたご意見は、

《今回のセッションは事例相談者と事例指導者との信頼関係がすでに成立しているため、

また、現場においても信頼関係があるから事例指導がスマートに実施されるのであり、

例えば、

技能検定の面接試験などでは、そもそも信頼関係が全くない状態から始まるのでその辺りがどうなのかモヤモヤする》

といったニュアンスのものでした。

 

おっしゃる通りです…という私自身もいます。


と言いながら、

一応、その場でお伝えしたのは、

多くの1級ホルダーが試験においては同じように事例相談者との関係性をゼロ(またはマイナス)から構築していますよね…とお話ししました。

※ゼロとかマイナスとか、実は受検者の思い込みでもあるのですが。。。


特に昨日は1級対策講座ではないのでそれ以上は深めずそのままにしています…汗


そして1級の受検者の多くの方は確かにそのお話しを同じようにモヤモヤ感じる人もいらっしゃるはず。

 

さて、

昨日のセッションを通してこのお話しを少し考えてみます。

 

当然かもしれませんが事例指導の面接セッションが始まると、

参加者様(61名様)は、

特に私(小林が事例指導者)の対応に注目しています。

 

事例相談者の方に注目するというよりは私の方に偏る。

つまり観察者からすると無意識に主役が事例指導者になっていることがあるかもしれません。


ここに事例相談者と私の中でライブで相互に起きていることを、

観察者の方が見失っている可能性もあるのです。


ここまででピンと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか。


これはちょっぴりもったいないことになりますよね。


《元々信頼関係があるからなぁ…》

と考えながら観察していたとなると、

何か観るところが足りなくなるかもしれないのです。

 

観察するポイントはセッションを開始する前、

事前に少しだけ参考までに触れておいたのですが、

勿論、簡単なことではないのかもしれません。

 

ライブで公開セッションを企画したのは、

その場でお一人おひとりの中に何が起きているのかをじっくりと味わっていただくことに一番の意義があると考えあえてやってみました。

 

事例指導者が上手いか下手か等、実際これはどうでもいいわけで、

それ以上に事例相談者のここでの心の動きや行動、表情、そして何がその人に起きているのか、

それらを細かく観察しながら、

自分だったらここでこのようにしてみる、

ここでこんなかかわりをするとこういう展開になるだろうか、

それを自身の中でライブで自分に置き換えてモニターしてみることが重要なことだと考えています。


全ては事例相談者のスキルであり、そして手柄なのです。

※全ては観察者のスキルであり、手柄なのです。

 

それが結局は試験の特殊性すらも乗り越える原動力になるということを信じられる自己を育てるという大事なところです。


これは講座の中でさりげなくお伝えしていることですが、

なかなか実感できないこともあるかと思います。

私は諦めないでずっと工夫をし続けていく所存です。

それほど昨日のグループワークでのお話しは意義深いものだったのではないかと、また振り返っています。