論述試験の事例を読んで事例相談者が抱えている問題を考えていくとき、

事例の記録内容等から相談者に対して

《何をしたことになるのか》

《何をいったか》

というような視点で事例相談者が抱えている問題を捉えようとすると、

比較的、事例相談者をネガティブに評価するスイッチが入りやすくなると思います。

 

実技としてこれでは厳し過ぎる態度というか、

事例指導の面接効果が薄くなる気がします。

 

それよりも事例相談者は

『何をしようとしたのか』

『何をいおうとしているのか』

と見方を切り替えて考えてみると、

キャリアコンサルタントである事例相談者の理解に近づけるのだと思うのです。

『相手を成長させていくカウンセリング』の技術を使った思いやりですね。

 

これは実際の事例指導の面接やロールプレイなどでも意識することが大事だと感じます。

 

さて、今回の記事では、

昨日まで記事にしてきた第12回1級キャリアコンサルティング技能検定試験論述選択問題の事例4を使い、

この事例相談者が抱えている問題に対しての目標設定と方策を検討します。

 

問2 この事例相談者が抱えている問題に対して優先して取り組むべき目標は何か。また、その目標を達成するために、効果的な支援を行う方法や内容について具体的に記述せよ。

 

前回記事に書きましたが、

相談者が自分の望みやこだわりたいとする点をなんとかして表現しているところに、

事例相談者としての認識がアドバイスという形で先に出ているので、

事例相談者と相談者の間に価値観等のズレがあるまま行動を促そうとしている様子があり、

相談者に任せた提案となっているようです。

 

事例相談者が相談者に出している宿題が(興味を持てる業界をしっかり検討)というものですから、

その行為が「エントリーシートの書き方」につながる認識を相談者と一致させるような働きかけができると、より相談者の求めるところに近づける可能性もあると思います。

 

〈目の前にある課題の対処法だけでなく、相談者が気にしているところに提案内容を意味づけられる働きかけを意識する〉

このような目標も考えられます。

 

今回、相談者がキャリアセンターに行くように勧められ行動をとったのは、

「応募できる企業の探し方とか、エントリーシートの書き方とかも教えてもらうように言われた」

ということがあります。

 

それが相談者の一歩前に進むことができたきっかけになっていますよね。

 

一方、事例相談者は専門家として、

先ずは相談者自身の自己理解を深めていきたいという狙いがあったかもしれません。

 

相談者に対して、

(大手は難しい、業界を絞った方がいい、サポートはあと2ヶ月、だからどんな業界に興味を持てるのか絞るところから…)

とアドバイスと提案をしているのですが、

それが相談者の中ではゼミの先生から言われていることとつながらないのではないでしょうか。

 

事例相談者がこうしたところに何か要点を感じることができれば、

事例相談者としては自分の提案がつながっていることになっていても、

相談者がその段階にいなかったかもしれないと振り返ることもできそうです。

 

結果、それは相談者が言おうとしていることへの理解を示す態度が弱かったことにもなるでしょう。

聴く力を発揮して相談者視点の問題把握をもう少し意識したいところですね。

 

このような内容を目標を達成するための方法や内容に記述できると具体的だと思います。

 

次回は、ネットワークや環境について考えてみたいと思います。