第12回1級キャリアコンサルティング技能検定試験の合格発表(Web)まであと一週間となりました。
昨日東京で桜の開花宣言も出て、
地域によって合格発表日の桜が満開になっているかもしれませんね。
新たな1級CC技能士が多く誕生することを心から願っています。
さて、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験論述選択問題を使って、
事例相談者が抱えている問題を考えてみたいと思います。
第12回の事例4(教育機関分野)の問1です。
問1 この事例相談者が抱えている問題は何か、あなたの考えを記述せよ。
この事例相談者は【面談経過】で
(就職活動はここまでやってこなかったのですね)
(就活はこれから本格的に始めるということですね)
(オンラインの合同企業説明会とかも参加していませんか)
(就活について今までどなたかに相談はしなかったのでしょうか)
といった質問をしていることを記録にしています。
どちらかというと相談者のことを質問しながら詰めるというか、
相談者がこんな状況だったのだ…
ということを事例指導者に記録を通して伝えたい気持ちもありそうです。
この事例相談者の立場を考えてみたとき、
相談者自身が卒業まであと2ヶ月だというのに、
就活についての準備があまりにも整っていない状況で、
来年4月に大手上場企業へ就職を希望している等、悠長なことをいってるな…と唖然としているのかもしれません。
(来年の4月採用に向けた上場企業の多くは残念ですが)
といった表現で相談者へ現実をわかってもらおうとしています。
相談者にとってもこうした言葉はきついところがありそうで、
それはある意味事例相談者の言いたいことが伝わるかと思います。
この事例相談者と相談者の間で就活についての常識というか認識のズレがとても大きそうですよね。
【所管】では
(支援できるのは2ヶ月と限られている)
(来年4月に大手への就職は難しい)
(企業規模に拘らずに秋採用でいいところが見つかるとよい)
(できるかぎり本人の経験を活かす就職)
とまとめています。
現実をわかってもらったうえで、
限られた時間の中でなんとか相談者の希望に近づくような就職を実現させていこうと考えている様子があります。
そのためにも自己を見つめてもらうための機会として、
自身がどんな業界に興味関心が向くのかを絞ってもらう宿題を出したことがわかります。
それが手掛かりとなり、折り合いをつけながら効率的な活動につながる期待も得られるかもしれません。
しかしながらその後相談者から連絡がないということで、
相談者のことがよくわからなくなってしまっているようですね。
(気になっている)
と記録の締め括りに打ち明けています。
相談者の役に立てるようにできるかぎりのことをしたつもりが、結果がついてこないとき、
自分の面談に挫折感を味わうことにもなるでしょう。
連絡もなく面談が断ち切れたときずっとわだかまりが残ります。
キャリアコンサルティングをする人として自信がなくなることもあります。
ここまで記してきたように、
この事例相談者の立場でどんな問題を抱えているか、
事例指導者があたかも事例相談者になってみて考えてみる、感じてみることも実践においてとても大切です。
勿論、試験の解答用紙にこれだけの文字を書くことはできません。
書くか書かないか、そうではなく、
どう考えてみるのか、その考えていく過程が大事なのだとつくづく思います。
すると自然体で事例指導者視点が事例相談者の成長に向けたあたたかい眼差しになるのだと感じます。
よくみせるための表面的なものではない真の人間愛みたいなものが滲み出てくる感じ。
ただ、支援のあり方はそれぞれ色んなスタイルがあっていいと思います。
結局、相談者への支援実践力の質が向上することが大事です。
対人援助のあり方は無限、且つ柔軟性としなやかさが必要です。
お話しは戻り、
上記に書いた内容から事例指導者の視点でこの事例相談者が抱えている問題を考えると、
事例相談者の就活に対する常識や認識が相談者とズレたまま宿題を出しているため、
相談者が自宅でひとりで検討する段階に至っていないことが考えられます。
「ゼミの先生からエントリーシートの書き方とかも教えてもらうように」
と発言にあったように先生も相談者を観察・評価して働きかけたと思われます。
ですから(書き方のサポートはもちろんできます)と応じるのだけではなく、
そこで共に考えていく機会をつくることが相談者のニーズにより近づくことにもなるかと思うのです。
ひとつの考えとして書いてみました。
これはゼミの先生との連携を少し視野に入れての問題点に触れています。
後の問3に出てくるネットワークや環境につながるひとつの視点にもなります。
キャリア支援者が自分自身の環境の常識や枠組みでルールや規定をがんじがらめに考えてしまっていると、
決まった条件の中で早く解決しようと押し付けてしまうことがあります。
この事例相談者は目の前の課題に注目し過ぎてつい自分が焦ってしまっているのかもしれませんね。
今回の視点を踏まえ、
次回は事例指導の目標とその方策を考えてみます。