昨日はひな祭りでしたね。
我が家の玄関には、
妻が毎年小さな二人飾りのひな人形を可愛らしく飾ってくれています。
ひな祭りが祝日でないのはどうしてなのだろう…
となんとなく考えていました。
調べてみると理由があるのですね。
興味のある方はぜひ調べてみてください。
さて、本題です。
今回も過去問を活用して事例指導の実際を検討してみます。
引き続き、
第12回1級キャリアコンサルティング技能検定試験論述選択問題の事例2(企業分野)を使います。
今日はネットワークや環境を考えてみましょう。
問3 この事例相談者が相談者を支援するために「必要なネットワークや環境」への働きかけは何か。また、なぜそれが必要であるか根拠を記述せよ。
1級論述選択問題の最後の問いです。
この事例相談者は【所感】に
(コロナ禍の影響をきっかけに相談に訪れるケースが増えており)
と気にかけている様子があります。
相談者を支援するために必要な働きかけを考えてみるには、
このように事例相談者本人が気にかけている点を大切にしたいところです。
この事例相談者は
(現職に留まるほうがよいと思いつつも、
念のために他業種への転職も視野に入れて「職務の棚卸し」をすることを提案)
と振り返っています。
そもそも、
相談者自身が現職に留まることや他業種への転職より、
起業に意識があるとすれば、
事例相談者の提案自体が相談者の芯をくわない感じになることもあります。
ただ、
この事例相談者が支援としてやろうとしたことが、
これまで一人課長で頑張ってきた相談者のことを尊重し、
少しでも自己の能力評価を上げてもらいたいと職務の棚卸しを提案したのであれば、
それは相談者にとっての選択肢の幅をひろげるかかわりにもなりますよね。
同じ言葉『職務の棚卸し』と表現しても、
面談のその時の状態によって相談者への伝わり方が変わると思うのです。
つまり、この事例相談者には、
(起業はリスクが高い)
(現職に留まるほうがよい)
という価値観があり、
相談者にそれが伝わってしまっていれば、
自ずと選択肢が狭まってしまうような意味合いが生まれた可能性があります。
コロナ禍によってなにかに長けている専門性の高い人(フリーランス含む)が採用され成功している事業も多々存在します。
要するに、完全なるジョブ型です。
それは例えば旅行業でも多くなってきているでしょう。
一人課長をやってきた相談者だからこそ、挑戦してみたいこともあるかもしれません。
旅行先で見つけた数々の美味しいパン屋さんについて物語をもっているかもしれません。
人にはいろんな起業のあり方も、働き方も考えられるのです。
この事例相談者が相談者を支援するために必要なネットワークは、
(コロナ禍の影響をきっかけに)
という受身でなく、
コロナ禍だからこそキャリア形成支援者が新たな働き方をデザインしていくのだという気概をもって、
コロナ禍で変わる、広がる世界を、より学ぶ機会を創る必要があると思います。
産業組織心理学でも経営学習論などでもいいので、
コロナ禍において人の様々な動き、働き方の変化などをテーマにして、
専門的に研究等をおこなっている先生を訪れても勉強になるでしょう。
それはこの事例相談者にとって貴重なネットワークを築くことになるかもしれません。
また環境については、相談者の奥様が
「退職金を使わないように」
「お金のことを心配しているみたい」
ということのようなので、
(リスクも高い)
といった漠然とした投げかけよりは、
相談者自身がリスク等についてどんなことを感じているのか、
別居の子どもたちを含め、家族はどんな風に考えているのか、
相談者の判断だけでよさそうか、
相談者自身の考えや感じ方に働きかけていくことが大事かもしれません。
それによって事例相談者が感じていたリスクというものが、
相談者自身の価値観として考えてもらえるきっかけにもなると感じます。
また、
相談者は今の職場で33年目のキャリアをもっているわけですから、
同業他社の関係者は勿論、契約している宿泊施設の事業関係者、
航空会社や交通機関の関係者、
諸々同じ境遇に晒されてきた人たちが多数存在していると思います。
多くの方が相談者と類似した経験をしている可能性もあり、
そうした方との情報交換等は起業というキーワードも出てくるかもしれませんし、
また現職で働き続けていくこと、転職するという道を選ぶこと、
あらゆる選択肢がリアルに考えられ、相談者のより適切な判断を導くことや、
また勇気づけるものにもなるかもしれません。
大事なポイントとして、
この事例相談者が相談者を支援するためにやろうとしていることを理解し、
そこにつながる視点で指導者としてコーディネートを検討していくことだと思います。
ネットワークや環境について、
事例指導者(受検者)が思いつくままにあれこれと書いたところで、
それは実践としては遠いものになるかもしれません。