本日は3月1日。

1946年に「労働組合法」が施行された記念日だそうです。

 

なにより、

第12回1級合格発表まであと3週間ですね!

緊張でハラハラドキドキします。

 

さて、今回の記事から、

第12回1級キャリアコンサルティング技能検定論述試験の選択問題を考えていきたいと思います。

 

実際の事例指導面接の基本をイメージして、

検定試験対策だけではない実践的な考え方を大事に記事を書きたいと思っています。

実践的な事例指導スキルの基盤を備えていることが検定試験合格につながると考えます。

 

では事例2の【選択問題(企業分野)】を使って検討してみましょう。

 

それにしても今回出題された事例は、

昨今の特殊な状況や激動なる環境変化、世の中の価値観の多様性の変化等、

あれこれが具体的に盛り込まれたものが目立ちました。

 

これまではそうした要素がそれとはなしの感覚で取り込まれていたのに対して、

今回は少しあからさまな感じがしました。

※検定試験として後世に残す役目もある問題なので、

一時の流行的な現象等だけに注意を向けさせていくような表現や言葉は、

あえて使用しないように考慮されるところもあるのかと勝手に思っていました…苦笑

 

今頃になって「コロナ禍」というワードが明確に使用されたのは、

ある程度のエビデンス的なものが揃ってきたことや、

実際のキャリア形成支援の現場のあり方にも様々な工夫がなされ常識的になってきたことなどもあるかと思います。

業界の端くれ者として一過性の試験問題にならないことを願います。

 

なお、事例検討を行うわけではないので、

そうした意味ではケースの内容自体は大して影響がないという考え方もできますね。

 

事例2を読んでみると、この事例相談者はキャリアコンサルタントとして

(自分では何がいけなかったのかわからない)

とのことで、今後のために指導を受けたいと書いています。

 

(いけなかった)

という認識をもっているようですね。

 

それは事例相談者として思った通りにならなかった、

つまり、相談者Bの思考や行動が提案通りに変容すると考えていたのかもしれません。

この事例相談者の支援の土台にこうした考えがあるのだとすれば、

これからこの事例相談者は対人援助活動の壁が大きくなってしまう可能性もあります。

 

どうしてそうした認識をもったのか、

この事例2の記録内容から少し考えてみたいと思います。

 

相談者Bは、

「もともと旅行が好きでこの業界に入ったはずなのに、全く旅行と関係のない仕事ばかりさせられていた」

といったことを事例相談者に打ち明けています。

 

そして

「これからもこうやって振り回されるかもしれないと思うと、何だか疲れてきまして…」

とモチベーションが下がってきた原因につながりそうなことを発言しているようです。

 

要するに、

自分の会社は諸々適応してきた結果として業績が保たれてはいますが、

個人としてどうも納得できないというか、不平不満な状態にもありそうな感じです。

 

相談者Bは今の状態から、

衛生要因的なところにしか目を向けられないのかもしれません。

 

例えば、

「ホテルでの事務補助」「夜勤を担当させられる」等の発言では、

労働条件や福利厚生、労務管理等の面で理不尽な思いをしていたのかもしれません。

 

「全国旅行支援」「この業界は景気に左右される」

等の発言からは、

今後の会社の方向性や経営方針等に不安を感じているかもわかりません。

 

さらに、

「課長ですが部下もいません」

という点では、職場の人間関係の面でもあまり充実した感じが伝わってこないですね。

 

動機づけ要因の側面でも、

「同期と比べて昇進も遅い」「これからもこうやって振り回されるかもしれない」

という言葉には、承認欲求や昇進昇格、業務そのものに満足感がないことが窺えます。

 

この事例のターニングポイントを事例相談者の立場からみてみると、

 

相談者Bが

「はい、なので転職も考えてみたのですが」

と発言したところで、

 

忙しかったことやしんどかったこと、

旅行が好きでこの業界に入ったこと、

関係のない仕事ばかりさせられたこと、

これからもこうやって振り回されるかもしれないと思うこと、

何だか疲れてきたこと、

 

これらの語りをもう少し深く聴く場面を取り戻したいところだと思いますが、

転職や起業への話しをさせつつ転職や起業を引き止めるような働きかけになっています。

 

事例相談者の意見やアドバイスは普段の会話だったら適切な内容かもしれません。

 

専門家として関わるのですから、そうした普段の面を出すよりは、

相談者の内面を照らすかかわりができると、

相談者自身の中で自問自答が繰り広げられていくものです。

 

元々、この相談者が

(様々な事態が起こったことで、モチベーションが下がってきたと感じている。これから先どうしたらよいのか悩んでおり、相談にきた。)

ということを発していたのであれば、

(現職に留まる方がよいとは思いつつも、他業種への転職も視野に入れて「棚卸し」を提案した)

といった事例相談者の支援がズレてしまうというか、

キャリアコンサルタントの枠組みがどうも先に出ているようにも感じます。

 

これでは勿体ない感じもしますね。

 

次回の記事では、

上記の考えを踏まえながら試験問題の問1を考えてみたいと思います。