1級キャリアコンサルティング技能検定の面接試験ではロールプレイ後に10分間の口頭試問があります。

 

受検票に示されている実技試験実施概要には、

例年、口頭試問の例として3通りの質問が掲載されていますが、

それ以外にもプラス4〜5ほどの質問があると想定されます。

※第11回までの過去の実績をもとに記しています。

 

毎年、問われるポイントは概ね同様かと思いますが、

この口頭試問の質問自体を丸暗記して答える練習をすることはナンセンスだと思います。

 

受検者の方の理解がしっかりしているのかを確認するためにも、

口頭試問の言い回しや言葉等に変化が生じることもあるでしょうし、

仮に、ロールプレイで発言された言葉について、何かを確かめる必要があると試験官の先生が判断すれば、

その点を質問されることもあるでしょう。

 

それは予め練習できる口頭試問ではないため、

もしそうした想定外の質問が飛び出てきた時にびっくりしてしまうのではないでしょうか。

 

1級の実技試験は暗記すればクリアできるものではありません。

そして同じような練習を繰り返しても、

その分型通りになってしまうため逆効果かもしれないのです。

 

この試験ではかりたい本質的なところを確認するために口頭試問があるはずです。

 

要するに、

事例指導の面接を行う際に必要な過程とその要点を評価していくものだと思います。

 

口頭試問では、さっきまで対面していた事例相談者とのロールプレイをライブで振り返ることが必要ですので、

受け答えがスムーズ且つスラスラ話せるような場合、相当な違和感を感じるかもしれません。

本来であれば演技ではなく懸命に誠意をもって「いまここで」考えながら答えていくものだと思います。

多少言葉に詰まってしまうことも当然ではないでしょうか。

 

こうしたことは形ではありませんし、

試験官の先生も心理学等、様々な学問を研究なさってきている方だったり、

実務家、実践家だったりするはずです。

少なくとも表面的なことではすぐにわかるはずです。

 

もし…

《口頭試問はこう答える》

的な指南なるハウツー等があり、そこにとらわれているとするならば、

いち早くそのような状態の自分に気づき、解放されることを願っています。

 

上記のような考えは全て初期化し、試験に臨んだ方が1級合格に近づくはず。

 

ちなみに、

以下のような口頭試問があったと仮定しましょう。

 

1、今回のロールプレイであなたのよかった点、改善したい点は?

2、今回のロールプレイを振り返ってできたこと、できなかったことは?

※私自身の受検時の記憶から抜粋した質問概要を仮にお示ししています。

 

上記二つが連続して質問されるということをあらわしているわけではありません。

 

まず1について、

言い訳のように、如何にも自身(受検者)が「反省できています」的な答えをする場合があります。

よかった点も改善点も、自分しかみえていないような答えをすることは、

「事例相談者との相互作用を何も考えていない」といっているようなものかもしれません。

 

つまり、自己中心の面接(振り返り含む)になっているようなもので、

ロールプレイが終わって、即座にそんなに自分の悪いところがわかるのであれば、

せめて面接のときにやってくださいよ…と言いたくもなりそうです。

口頭試問を一般化や標準化してしまうと、このようなことに陥るので気をつけたいところです。

 

そして2について、

1と2のちがいがわからないという方もいらっしゃいます。

 

1の口頭試問を受け答えた後、いくつかの質問を挟み2の口頭試問を受けた場合、

「先ほどもお伝えしたとおり…(1での答えを指す)」

などと反応してしまう場合があります。

 

これはどうでしょうか。

 

違う質問の内容なのに、先ほどもお答えしたとおり等と反応してしまうことは、

質問の意味の認識がずれているように考えます。

 

「できたこと、できなかったこと」

といった口頭試問があるとすれば、それは事例指導者(受検者)の頭の中に描かれていた指導プランを確認するような質問だと私は思います。

 

事例相談者と共同作業で面接が進んでいく際、

この事例指導の時間では、今回はここまで展開する必要があるかな…

という具合に事例相談者の成長を考え、よりよい時間になるように工夫しますよね。

常に変化するわけです。

 

終わってみて、

「ここまでができた、ここからここまでができなかった」

という振り返りを根拠をもって言葉にできることが必要です。

 

2の質問では、

よかった点や改善点を聞かれているわけではありません。

 

1と2が一緒になることはなく、

わかっていれば、

「先ほどもお伝えしたとおり…」などという発言はでないでしょう。

 

どんな口頭試問にもいえることですが、

「自分が」精神が強い場合、自分の不出来さを即座に反省の言葉にする傾向があります。

 

その反省が自分だけに向いていることは、

一見、自己を客観視できている、俯瞰していると評価を受けそうな感じもしますが、

評価者等から観察していると、全く逆に映ることがあるので注意したいところです。

 

あくまでも先ほどまでのセッションは事例相談者がそこにいたから実現できた唯一無二の時間であり起きた現象なのです。

事例相談者のために過ごした30分間のことを自分中心に反省しても意味がないかもしれません。

 

これは実践的に考えてみればフィットするでしょう。

今一度、口頭試問についても奥深く感じてみて欲しいと思うのです。