本日から関東へ出張し明日は横浜で講座を開催いたします。
今朝の福岡空港は曇天で今にも雨が降りそうな気配がありますが、
予報では晴れとなっているので、きっとこれからおひさまが顔をのぞかせるのでしょう。
冬が近づくにつれ日が昇る時間が日に日に遅くなってきています。
明日の夜のうちに関西へ移動して、
明後日は横浜と同様のプログラムで大阪にて講座を開催します。
明日の横浜会場では講座参加者様が6名と比較的少人数での学習となります。
翌日の大阪会場は予め広めのお部屋を設定していましたので20名のお申込みをいただき、
結果18名様が参加される予定となっています。
2日間で計24名の1級受検者様にお会いし、
事例指導の基本的理解を深める時間にしていく予定です。
1級技能検定試験の本質的な対策学習になるように精一杯努めてまいります。
さて、今回の記事では事例相談者の成長を目的とした優先的な目標を達成していくための効果的な方法や内容について具体的に考えていきたいと思います。
活用する事例は先日このブログでアップいたしました架空事例を使って考えてみます。
※事例がわからない方は下記のURLからご確認くださいね。
https://ameblo.jp/cvclab/entry-12772228600.html?frm=theme
先日の記事では、
問1の事例相談者が抱えている問題や、
問2の優先的に取り組むべき目標について解答例自体を具体的に記しているわけではありませんので、
読者の皆様におかれましては、
このブログ記事でお示ししたひとつの考え方を参考にしていただきながら、
ご自身のお考えを整理してみてほしいと思っています。
例えば、事例の面談経過終盤に、相談者から
「今の職場でも感じていることなのですが、現実はそれほど甘くないと思うのです。」
と発言を受けたことを読んで、皆様はどのように感じましたか。
対して、この事例相談者は、
(様々な悩みを話したことで冷静になることができたと思う)
と振り返っていますよね。
あくまで一例ですが、
こうしたところにこの事例相談者の傾向のようなものが顕在化しているともいえます。
これは事例相談者が
《相談者との関係構築はある程度良好であった》
とする自己評価の認識があることもうかがえますね。
ただ
(連絡がなくどうしているのか気にかかる。
もしかしたら対応に何か問題があったのではないかと気になり…)
と記されていることは良かったな…と少しホッとする感じです。
認識していたことと現実との乖離がモヤモヤしているようです。
この事例相談者が抱えている問題を、事例指導者がどのように考えたか、
優先目標として何を設定したのかによって達成するための方法や内容は変わります。
そもそも事例指導者として問題を提示するときに、
事例相談者が(できている)と感じているところをダイレクトに否定しても、
事例指導として効果的な方法や内容とはならないことも多い。
事例相談者自身が自己成長への学びの意欲を高められなければ、
その目標は達成されないことにもなりそうです。
いくら的確にズバッと表現できたところで、
事例相談者のやる気が出なければ何の意味もないことを
指導者として心得ておきたいものです。
少し記録の前半に戻りましょう。
(体力的なことも不安があり、ご家庭ではお父様のことを考えると今後のことが不安に感じていらっしゃるのですね。)
このように事例相談者が最初の発言を記録にしています。
ご本人がこの場面で特段の意識があるか否かはわかりませんが、
キャリアコンサルタントとして相談者の気持ちに応じる際の大事な最初のかかわりにもなりそうです。
この事例相談者の最初のかかわりは、
事柄から感情、事柄から感情という具合に確認をしている様子です。
共感としての効果としては今一歩という感じがしますね。
相手にとって同調されているようにしか感じないこともあります。
例えば、
この場面で相談者の内面を照らす働きかけを行う必要があると考えたとすれば、
どのような問いかけが効果的だと考えられるでしょうか。
勿論、相談者の言葉をそのまま返すことも効果的かもしれません。
(体力的なことも不安があり、
ご家庭ではお父様のことを考えると今後のことが不安に感じていらっしゃるのですね。)
という事例相談者の理解らしきことを伝えるかかわりだと、
相談者にとって漠然としたままの不安に集中させているだけになりそうです。
『Cさんが不安を感じているのは体力のこととお父様のことなのですね。』
『Cさんが不安を感じているのはご自身の体力のことですか。お父様のことですか。』
ちょっとしたことですが、
このように質問をしてみるのはいかがでしょうか。
相談者が漠然といくつかの不安を抱えている、
相談者自身が何を解決していきたいのか言葉にできないとき、
ただ《不安を感じている》と応じただけではお互いに何もわかりません。
相談者の不安について相談者自身が内面で自問自答し整理できるような側面的かかわりをしていくことが重要かもしれないのです。
この事例相談者の記録にある最初の問いかけだと、
当然、相談者がそれに応え、そして事情をお話ししてくれるでしょう。
すると事例相談者は相談者のためにも知っていることや経験等を中心にして、
あれこれと解決のための方法を提示することになります。
最後の「こころ」の叫びともとれる
「現実はそれほど甘くない」
という相談者の抵抗、相談者が持つ価値観と感情体験が滲み出てきたのは、
事例相談者との面談に居心地の悪さを覚えたのかもしれません。
大事なことは、
相談者が「現実はそれほど甘くない」と発した言葉は、
相談者の感情的な体験からきているものだということです。
相談者自身がそこに向き合うことが必要になるのかもしれないのです。
それが不足すると相談者視点の問題が共通理解できません。
よって問題の核心も掴めない。
事例相談者視点の問題を土台にして方策を提示しても関係は醸成されていかないでしょう。
このような相談者の反応に応じられる力を身につけていくことが、
この事例相談者の成長につながる気もします。
(今の時代、仕事と生活との調和が大切だと国の施策でも明確に示されていますし、多くの職場でもそれは認識されて取り入れようとしている)
と事例相談者は言語的説得に入っているシーンがあるようですが、
これは相談者のその時の状態のままで納得できるのでしょうか。
相談者の気持ちに応じる必要がある場面で、
事例相談者自身が良い面談を提供したいと思うあまり、
肝心の相談者との本音の交流に近づけない状態にあると思います。
知識や情報等は相談者が必要としているときにしか役立ちません。
色々書きましたが、
事例相談者が記録にとれているところを大切にして、
連絡がなくどうしているのか気にかかる、もしかしたら対応に何か問題があったのではないかと気になり…
としていることと
様々な悩みを話したことで冷静になることができたと思うとした自己評価について改めて見直すことができそうか、
一緒に考えていくことができそうだと思います。

