今回の記事では、
昨日アップした練習用の事例を使って、
事例指導者の「こころ」について書いてみたいと思います。
これまで書いてきた記事に少し表現の変化をつけて書きます。
とはいっても、
お伝えする本質はなにも変わりません。
事例相談者をわかろうとする「こころ」です。
前提として、
事例指導の実践においての共通理解にあげられることには、
●特定のアプローチの違いは関係しない
-多様性を尊重するためにも様々な学派や理論等が入り込んでくることが重要。
●事例相談者を通して事例をつかみ、事例相談者にとっての必要な介入をする
●事例指導はキャリアコンサルティングやカウンセリングではない(事例相談者はCLではない)
●事例相談者の事例をどのように活用するかが重要(事例相談者の成長を目的とした評価を含む)
●事例検討との異なりを意識する
-事例検討:対象事例の支援方法を検討。具体的な支援方法の実践知識を養う。
-事例指導:支援内容や方法の背景等を汲み取り、事例相談者の学びを深めていく共同作業。
といった表現ができると思います。
特にここで書きたいことだけを5点絞って挙げました。
※分野の異なり等によって「事例指導」という言葉の意味が全く異なることがあります。
ここではキャリアコンサルティング協議会の技能検定試験ホームページに掲載されている「1級試験科目及びその範囲並びにその細目」に従って事例指導(スーパービジョン)と表現いたします。
※本来、事例指導とスーパービジョンは異なります。
上記5点は、スーパービジョンを考えるときに分野•領域等の垣根をこえた諸専門家同士が集まる勉強会や実践で教えていただいたポイントです。
現場で実践している専門家同士が共通理解のもとで話し合える大切な視点なのだと考えます。
この点を理解できない実践家スーパーバイザーは皆無でしょう。
キャリアコンサルティングを提供する人が、
事例指導やスーパービジョンをキャリアコンサルタント同士だけでの枠組みで考えることは、
何かに偏ってしまったり、ある部分だけしか照らせないことも多いのです。
他職種との共同作業によってうまれる作用は想像をはるかに超えるような発想のミラクルが起きます。
上記のポイントがそうした現象を引き出してくれる拠りどころにもなるのだと実感しています。
お話しがだいぶそれてしまいましたが、
論述選択問題を考えるとき、
事例を読みながら事例相談者の至らないところをサーチするように脳を働かせる(もしくは脳がサーチさせている)ことは、
その多くの場合、事例検討にとどまっていることがあります。
上記にご紹介した事例検討と事例指導との異なりが意識できていないのかもしれません。
目的が異なるのでその意識は大切なことです。
事例指導としてかかわるときは、
事例相談者のやろうとした支援内容や方法の背景等を汲み取り、
事例相談者の学びを深めていく共同作業であるという点を大切にしたいところです。
つまり事例にまとめられた記述内容の表面だけを捉えて事例相談者の至らぬ点を問題だと記述するだけでは、
実技として何かしっくりきません。
論理的なことを書ければ良い、
正しいことを書けば良い、
といったどこか突き放したような感じでは、
事例相談者の学ぶ意欲は削がれることも多いです。
問題を指摘する前段階のステップをご自身の脳に検討させてもよいのではないかと思います。
すると事例指導者の事例相談者をわかろうとする「こころ」が自然体で文字表現されるものだと考えます。
そうした思考プロセスを踏まない場合、
事例相談者をわかろうとする言葉が出てくることはあまりないと思います。
このように考えてみることで、
事例相談者を通して事例をつかみ、
事例相談者にとっての必要な介入をする…
というイメージができますし、
また、
事例指導はキャリアコンサルティングやカウンセリングではない(事例相談者はCLではない)…
ということへの実践的理解が深まるのではないでしょうか。