1級キャリアコンサルティング技能検定試験の対策のために、
論述問題や事例指導のロールプレイを定期的に練習したり、
実践に取り入れてみたりしている方は多いと思います。
例えば、ひとりで学習に取り組まれている方は、
他者から何か指摘を受けたりアドバイスを受けることがないので、
余計な刺激を受けることも少ないでしょう。
すると、自分が抱えている課題に気がつかないこともあったり、
仮に問題を抱えていても自分だけでは適切な打開策を見つけ出すことはなかなか困難です。
だからこそ、他者(例えば講師や学び仲間等)から、
よい刺激を受けられそうな期待できる場や機会を求めていくこともあります。
これは事例指導やスーパービジョンを受けたいという動機にもつながるでしょう。
1級の論述問題の事例についてテーマを設定して個人やグループで検討したり、
ロールプレイを実施した後に事例相談者からフィードバックをしてもらったりする場面をつくることがあります。
その時、観察したことを、
その人の感覚で結論を下していたり、
その人の経験や知識から知っていることを前提に、
その人の感情的な反応を含め結論を下していることもあります。
他者が観察したことを言葉にしてもらうことは役に立つことが多い。
ところが、
観察したことを、観察者自身が知っていることや経験、
その思いだけで結論付けてしまうことは相手にとって役に立たないことが多いものです。
「結論から観察を切り離すこと」
これが学習者(他者)へのフィードバックでとっても役立つのです。
なぜなら、それは私たちの結論というものは、
その多くが自分自身の感覚で結論付けているからです。
結論は人によって相当に異なります。
つまり、結論は間違っているかもしれませんし、
不確かな情報等に基づいたものかもしれません。
勿論、その判断自体が間違えかもしれません。
結論を出すことがいけないということではなく、
人に対してフィードバックをしていく際に、
結論から観察を切り離して考えてみることが大切なことだとわかっていると、
フィードバックが有効になることがあります。
逆に表現すれば、
フィードバックを受けた側が「自分は正しいのだ」と自己で結論づけている場合、
他者からの観察力を信じない、受け入れないという現象が起きるケースもありますよね。
これも学習仲間とフィードバックをしていて経験があるのではないでしょうか。
その時に、この結論と観察を切り離して考える力があると、
その人が結論にとらわれていたとしても、
それ自体を理解することができ、受け止めることもできるでしょう。
だからこそ、その人へのかかわりにひと工夫することもできるようになると思います。
※例えば、事例指導の面接の中で起こった言動や行動等の事実に基づき伝えることができたり、肯定的フィードバックと建設的フィードバックをうまく活用するなど。
もう一度記すと、
結論付けていくことが悪いことではありません。
相手には役立たないことがあるということです。
結論は間違っていることがある…
だからこそ観察と切り離してみることが面白いのです。
フィードバックの本質的なトレーニングは、
論述試験でも面接試験でも口頭試問でも全てに役立つのだと思います。