昨日の講座で少し話題にあがったお話しを一部記事にします。
1級キャリアコンサルティング技能検定の面接試験(ロールプレイ)において、
事例指導者(受検者)が事例相談者に対して何かに気づかせようと、
紙とペンを使うなどして面談フレーム等を可視化する場面があるとします。
この時(システマティックアプローチ)(コーヒーカップモデル)等々の言葉を使い、
その説明をしながら事例相談者の事例をそこに置き換えていこうとするシーンが浮かびます。
興味深いことに、
こうした行動そのものが「NGである」と歪曲した認識を伝えていることがあるようです。
そもそも…
事例指導者が事例相談者へ何かに気づかせる…
という認識をしていること自体がズレている可能性もあると思います。
また、事例相談者の事例をフレームに置き換えていること自体が、
事例相談者が求めていることと乖離していればおかしなことになるかもしれませんよね。
事例指導を画一的な対応で実施しようとすることは、
逆効果になりかねません。
試験官のコメントとして公開された第11回の面接試験傾向の資料には、
システマティックアプローチ、コーヒーカップモデルという用語を使うことがダメだと書かれているわけではありません。
「目の前の事例相談者をみないと事例指導にはなりませんよ」
という意味合いで書かれているものだと認識します。
しかしながら、これから1級受検に臨もうとする方が、
システマティックアプローチ、コーヒーカップモデル、フレームワーク等について、
「それを使ったらダメだよ」「それやったら抵抗されるから」
という認識をもっているとするならば、それは随分とズレてしまっていると考えます。
結局のところ、
もし多くの方がそのような理解になってしまうことがあるとすれば、
面接試験傾向として公開されたこと自体、
あまり意味がないことにもなってしまいます。
先ず、事例指導で事例相談者に気づかせるという認識があることは、
事例指導の優先的な目的がわかっていないことにもなりそうです。
「気づかせる」という表現をするのであれば、
事例指導においては、
優先的には事例相談者が自分で気づくところに焦点を当てていくことだと思います。
それが「気づかせる」という言葉にもなるのだと思います。
決して、事例指導者が気づいているところに気づかせるという意味合いが優先するわけではないと実践的にも考えます。
事例指導では、事例相談者自身が自分の事例を通し、
自分で課題に気づくことが最大のポイントにもなるでしょう。
それは事例指導者が事例相談者を理解しようとしなければできないことです。
事例指導者ができることはそう大したものではありません。
事例相談者がキャリアコンサルタントとして成長できることは、
多くのクライエント支援力に発展します。
だからこそ、目の前の事例相談者との出会いに感謝して、
事例指導者自身も自分にない力を事例相談者から教わるつもりで臨んでいく必要もあると思います。
事例指導では事例相談者のキャリアコンサルティング全体を理解していくことから全てが始まるといっても過言ではないと考えています。
その中で基本中の基本であるシステマティックアプローチに沿って考えてみるのは事例指導者の方だと思います。
事例指導者の中でその整理がなされているかは口頭試問等でもみえてくると感じます。