心理的なグラデーションの感覚は、

ネガティブとかポジティブといった意味合いに活かすことができると思います。

 

例えば…

 

筆者はブログ記事や講座の場で、

以下のようにメッセージすることがあります。

 

1級キャリアコンサルティング技能検定試験の受検を考えてみるとき、

事例指導の実技をひとつの視点で検討していくと、

事例相談者の弱みや不出来なところに焦点化して指摘するより、

その人の考えや持ち味、特徴等を大切にして、

より良い対応等を一緒に考えてみた方がいいとお伝えします。

 

このように、どちらか的な思考を示し刺激を提供したとき、

それを受け止める方によって、当然ながら認識が大きく異なることがあります。

 

《不出来なところを見つけなければ問題の把握にならない》

《問題を見つけることが成長には必要だ》

と否定的な視点から見ていくこともあります。

 

《弱みよりも強みを明確化したい》

《褒められるところ、承認できるところから見つけよう》

といった少しばかり無理して建設的に考えていこうとしていることもあります。

 

私は時々少し意地悪になって

 

[問題として示していることが現象を指摘していることに留まっている]

[事例相談者が自身の問題として感じているところから乖離しているかも]

 

[自分自身の強みを言えない人がいる]

[自分の強みがわからない人には人の強みがわからないこともある]

 

こんな風に投げかけてみます。

 

クライエントへの支援においても

(自身の長所・強みを探しましょう)

と投げかけたところで、

誰でもそれができるわけではありません。

 

かえって自分の失敗とか弱み、

苦手なことの方が表現しやすいことがあります。

 

それは否定から入っているアプローチだという人がいますが、

私はそれもストレングスだと感じることもあれば、

どちらでもなくグラデーションの感覚もあっていいのだと思うこともあるのです。

 

話し合っているテーマにネガティブだったのに、

いつの間にかポジティブな思考に移り変わることもあります。

その変わっていく過程を意識できることも大事です。

 

これがクライエントへの側面的な支援にもなり、

より良質な対話になるのだと考えることがあります。

 

ゼロイチ思考、白黒思考も大切です。

そしてあるときはそれをグラデーション的に思考していくことも役立つ。

 

また…ネガティブはダメ、ポジティブは良い、

そんなことはないのですね。

 

行ったり来たりみたいな揺らぐ感覚

あえてそこを楽しめる感覚

あたかもクライエントの立場で感じていけるようなイメージ。

曖昧な感覚を我慢せずに揺らぐことのできるしなやかな強さ。

 

これは事例相談者と事例をツールにしながら一緒に体験することもできます。

 

お話しを少し変えますが、

1級キャリアコンサルティング技能検定試験の問題について、

正しい考え方や答えを求めているとき、

こうしなければならない

こうした方がよい

正解はこうあるべき

というように正誤を成功者から教えてもらうことはストレス軽減になるかもしれません。

 

何を信じていけばいいのか、

それが明確になることはスッキリする感覚にもなれます。

 

反対にそうした教えや考えに疑義の念を抱く方もいます。

 

本来なら正解のないもどかしさがある

明確にならないところのモヤモヤ感がある

そこに意味深さがあることを感じ信じている人もいます。

どちらでもないその時々のグラデーション的な見方なのかもしれません。

これは前者のようにはっきりさせたい人には耐え難いことにもなります。

 

はっきりさせたい人もいればそうでない人もいる。

その時々で変わる人もいます。

 

キャリアを考えること自体、否定から入りつつ、

それは意外にも自然なことなのかもしれません。

 

建設的とか肯定的、尊重していくことなど、

無理に振る舞っていてもストレスも溜まりボロが出ることもあります。

 

例えば、否定から入っていくこと…

実はそれは本当のありたい姿につながっていたり、

個々それぞれのオリジナルの実像だったりもするので、

要するにストレングスにもなるわけです。

 

仮に、目の前の人が

「私は中卒・高卒だから…」

と一見その人がネガティブに語っているように見えたとしても、

そこに、その人の生きる意味みたいなものが備わっていることを受け止め、

それを大切に聴くことができることは、

人のキャリアを大切にすることにつながると思います。

それが専門家なのでしょう。

 

普段の人との会話ならば

「大丈夫!今どき学歴なんて関係ないよ!!自分のことを苦しめないでね。」

このように《励ます・励まされる》といった立ち止まった会話に終始することでしょう。

これはゼロイチ、白黒、正誤的な価値観に偏ってしまう考え方かもしれません。

 

白黒思考からグラデーションをきかせて思考に変化をつけたり、

白黒思考を大切にして戻ってみたり、

少なくとも指導レベルキャリアコンサルタントとして生きるとき、

そうした時々のバランス感覚を鍛えたいものです。