事例相談者の報告(事例記録等)を受け、
事例指導者には様々な感情が生起すると思います。
事例相談者から刺激を受けることで、即時にその解釈をして反応します。
これは人として組み込まれている機能の一つだと思います。
例えば、
思わぬところで事例相談者から強い抵抗や反発を受けたとします。
《ドキッ》
としながらも、同時に嫌な気持ちや怒り等がわき起こってくることがあります。
その自動的、直感的な感情は最初の段階でしかないことが理解できると思います。
要するに、
事例相談者のその態度の意味などがわかれば、
自己の解釈の調整がなされて、目の前の事例相談者から受けた出来事が再評価されていく。
自然とさっきまで自分の中にわき起こっていた情動的なものが消えてしまうことがあります。
このように即時の解釈で評価したり行動をとってしまうことは、良い方向に働くこともありますが、
一旦調整することが大切なときもあり、いかに感情をその時々に合わせてうまく利用するのか、
また、感情に左右されないように調整することが必要であるかの判断等は、
ある程度のスキルが必要であると思います。
実はこの即時の解釈を自己コントロールできるスキルは、
例えば、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験のロールプレイでも論述においても有益です。
私の講座においても、多くの受講者様に体験していただいてますが、
論述過去問の事例を読んで個々で「何を考えたか」を共有する時間を設定することがあります。
事例を読んでピンとくるところはそれぞれ異なりがあります。
その時に即時の解釈や直感、その時の感じ方を頼りに言葉にする人、
即時の解釈をコントロールして、一旦その意味を理解しようと試みる人、
それぞれ違うことは興味深いところです。
前者の感覚は大切です。
さらには後者の制御する力も大切だと思うのです。
事例指導者が、事例提供者の事例について、
自分がピンときたところだけに注意を向けていたらどうなるか。
それでは事例相談者を伸ばすことにはなり難いかもしれません。
事例指導者は、自分の自動思考や直感的な感性も大切にしながらも、
自身に起こる感情を理解した上で、
事例相談者の事例を読んで悪い解釈になってしまうところを中心に見方を変えてみる、
転換してみる努力が必要なのではないかと思うのです。
グループワークなどで、事例を囲んでメンバーで話し合います。
いつの間にか記録をまとめた本人(事例相談者)の指摘に終始していることがあり、
そんな自分に気付けると自身の感情や行動(言動)、思考がどんな風に影響を受けているのかが改めて見えてきます。
論述の解答などで書き方や言葉選びに苦戦する人も多いかもしれませんが、
その前に、そうした面の理解を深めていくと、
自然と幅広く奥深い表現もできるようになるのかもしれません。
かくいう私も、このブログ記事の通り、
人のことをとやかく言える状況にはありませんが、少しずつでも勉強を重ねております。