スーパービジョンや事例指導を実践的に考えていくとき、

「事例を読む」「事例をきく」という大切な行為があります。

※バイジーや事例相談者からすれば、バイザーや指導者に、

《自分の担当した事例を理解してもらいたい、なるべく正確に伝えたい》

という思いがあるでしょう。

 

1級キャリアコンサルティング技能検定試験においても、

例えば、論述試験では事例を読み、

各問に答えていくということをしていきますよね。

 

バイジーや事例相談者から事例(ケース)記録を受け、

その内容を把握していくときに、

「客観」と「主観」に分けて整理してみようとするワークがあるとします。

 

どのような業界においても、客観的事実と主観は混同しないよう、

区別して記述するように指導されていることも多いように思います。

 

さて、客観的事実と主観を分けるということは本当にできるのでしょうか。

読者の皆様はどのようにお考えになられますか。

 

一例として挙げてみますね。

 

1、相談者A 35歳 会社員 営業職 入社歴5年

 

2、相談者A 35歳 未婚 転職4社目 高卒

 

1も2も事実としての情報を事例記録に記したものだとしましょう。

どちらの記録内容も客観的事実だと考える人も多いかもしれません。

 

記録者(事例相談者)が記録にまとめるとき、

相談者Aの情報を選択している時点で客観とはならないともいえます。

事例相談者の主観であることが感じられるでしょうか。

 

いつも私は考えるのですが、結局、全ては人の知覚フィルターを通しているのだ。

要するに客観的事実であるか主観的事実であるのか、

わからなくなるということです。

これが面白いのです。

 

多くの人が認める事実、誰でもがわかりやすい事実、

置き換えて比較しやすい事実等…

(それを客観的事実である)というのは、何とも短絡的だと考えるのです。

 

いくつかの事実と呼べそうなことから、何を選択してどのように並べていくか、

これを考えている時点で主観です。

 

そもそも客観も主観もどちらがどうこうという話ではありませんが、

例えば、この情報を客観的事実と認識している…

そう考えている事例相談者、その思惑を持った事例相談者、

専門家としてそのように考えを持っていること自体を理解していこうとする。

ここに意味があるのだと考えています。

 

よって、私のこれまでのブログ記事でも「客観的事実」という表現を使用しているところがあるのですが、

それは上記のような考えが背景にあり、あえて書いていることを意識して下さると、

また違う面白さや発見があるかもしれません。

 

今週末から大阪でいよいよ講座をスタートします。

2022年度は、基礎導入の対策講座をプログラムしていて、

そこで配布する資料にも新たなコンテンツを取り入れています。

 

そこにも「客観的事実」という言葉を使用しますので、

少し深く考えて下さると幸いです。

 

ご予約いただいている方はお楽しみに参加されてくださいね!