キャリア形成支援者のスーパービジョンについて業界で様々なお話しが飛び交うことが増えました。

そこでよく話題の一つに挙がっていることですがスーパーバイザーの養成について専門領域(分野)が必要であるということです。

本当にそうなのでしょうか。

私自身は何もこだわってはいませんが、もし問われれば、

もっと優先的に必要なことがありますと表現します。

 

専門分野、その領域には特化したスペシャリストが既に存在していて、

そこの関わりにつながるキャリア課題については、

例えば私の業界においてはそれ自体をキャリアコンサルタントが何か介入していくことにはなりません。

勿論、そのスペシャリストを知っているからこそつなぐことができますが、

私自身がその分野を勉強していたとしても実務的にキャリア支援として活動していくことは皆無です。

 

日々現場にいる一人の実践家として、

有識者・学識経験者の先生方にお伝えしたいこともあるのですが、

ここでは書けませんのでこのくらいにして…。

 

私たちは実際の現場で目の前の相談者と日々向き合い、

また面談等を通して反省的な振り返りを重ねながら、

適宜スーパービジョンや事例指導、事例検討をリアルに実施・体験を重ねています。

 

この記事では1級キャリアコンサルティング技能検定試験の実技(論述・面接)試験を主なテーマに扱っていますので、

前述した実践的視点から事例指導の面接に先ずフォーカスして記事を書きます。

 

1級の試験は論述も面接(ロールプレイ)も事例指導の実技試験です。

 

大事なことは、

事例がどんな分野であろうと、

事例の中身がどれだけ突飛なストーリーだったとしても、

キャリア形成支援という側面で事例相談者と共に事例を使って諸々考えていくとき、

キャリアコンサルティングのコモンコアのような考え、つまり共通項について対話を重ねていくことだと思うのです。

 

事例相談者が持ち込んだ事例について、事例指導者(受検者)が、

どうすればいいとか、こうすればいいのにとか、

そうした問題らしきことや対応ばかりを考えていると、

結局、事例相談者の面談にネガティブな概念的枠組みを用いることになります。

 

例えば、第11回の1級CC技能検定試験について、

論述の必須問題として出題された事例1の内容には相談者のプロフィールや語られたことなどに引っ張られる情報が満載でしたね。

 

その内容にあれこれ考え込んでしまう方は多く、

結果、必須問題に時間がかかりすぎた…

というような感想等がとても多く寄せられました。

これでは事例指導の実技にはなり難いと思うのです。

 

「変化が起きるほどに、不変のものが明らかになる」

 

これは私がスーパービジョンで教えていただいた大事にしている言葉です。

※一般とか普遍という言葉ではなく不変です。

 

事例の情報内容に複雑な変化が多いほど、

キャリア形成支援の面談の共通項は明確にできます。

 

そして何より、人は不快な問題に対処しようとすることよりも、

事態を良い方向に向けて考えていくこと、行動していくことを好むでしょう。

事例指導者はそうした事例指導の動機付けの工夫も必要です。

 

「問題は何か」

と問われてネガティブな枠組みに思考を集中していくのではなく、

ポジティブな概念的枠組みに焦点を当てていく指導者が実際に求められます。

 

事例指導やスーパービジョンを受け、

「2度と受けるか!」

と困惑している専門家も本当に多い。

 

あれがスーパービジョンだったら私は無理…

とトラウマみたいになっている人は本当に多い。それが現場です。

 

スーパービジョンとか事例指導とか、ハードルを上げないことが大事で、

それはクライエントのためにもそうした方がいいといえる側面があります。

 

現場で気軽にこまめにスーパービジョンっぽい場面を指導者から積極的につくる努力をすること。

これがキャリア形成支援の専門家育成という面でとても役立つものになっていくと考えます。

 

事例相談者が持ち込む事例、そして事例の説明は個別であり、

勿論、その困難さや複雑さは色々です。

だからこそ事例指導者は事例に巻き込まれずに掴む力が必要なのでしょう。

 

専門分野でのバイザーが必要なことはわかりますが、

各分野での専門的課題解決等が得意なプロフェッショナルはキャリアコンサルタント以外にいくらでも存在しています。

だからこそ一定範囲での専門家と、連携・協働ができればいいのではないかと考えることもできます。

 

それよりキャリア形成支援面談の共通項なる育成水準で、

事例指導やスーパービジョンを実施していく必要性がまだまだあると考えます。

そこが未熟なまま特異な側面に注意が向いて解決を考えることは、結果としてクライエント支援にならないことも多い。

これは現場にいてつくづく実感することです。

 

1級CCの技能検定試験は実際にその共通項での基本的な水準を評価しているのだと思います。


これから受検される方は、

論述の書き方とかロールプレイの進め方とか、

また口頭試問の応じ方などの一般化した練習にならないよう、

事例指導とは何を目的に行う面接なのか、

原点から理解を深めていくことが試験対策につながるのだと考えます。

 

そしてキャリアコンサルティングや事例指導、スーパービジョンの面接、実技に型などありません。

※私はそのように学び続けていて多くのキャリアコンサルタントの方へそれを伝えています。

 

4月に予定しているオンライン説明会では、

そんなところも諸々お話しができたらと考えています。