キャリアコンサルティング技能検定の実技には論述試験と面接試験があります。

 

このブログでは1級キャリアコンサルティング技能検定試験について書きますが、

2級の技能検定試験や国家資格キャリアコンサルタント試験をこれから受けるという方がいらっしゃいましたらご参考にしていただけたら幸いです。

 

論述試験について実技試験と離した感覚でお話しをしていることがあります。

 

試験対策として、解答に記述する言葉や文字数、

解答スペース等、形式的なことに注意が向きすぎて、

実技として大切なことが置き去りになってしまう感じです。

 

ひとつの実践的な練習としては、この4月から9月くらいの半年間は、

なるべく試験の解答フォーマット等にとらわれず、

実践のイメージを自然に得られるようにトレーニングすることが必要に感じます。

※12月の論述試験を受検する前提で書いています。

 

例えば、過去問を使うと仮定して、

まず事例を読んだ時、この事例相談者が何を相談に来たのかを理解できるか自分で確認してみてほしいと思います。

 

それは記録に書いてあることしか情報はありません。

しかし、そのまま事例記録を読んだとしても、

それがそのまま事例相談者が指導者に相談したいこととなるかはわかりませんよね。

 

そうすると理解するために異なる視点から考えてみることが大切にもなります。

 

一例ですが、

この事例相談者が相談者をどのように把握しているのかを知る必要もあります。

 

相談者の問題をどのように捉えているのか。

 

事例相談者からみて、相談者から語られたことから、

何を訴えていると捉えているのか、どうしたいと捉えているのか、

また、それらを受けながら、

事例相談者は相談者の問題をどのように考えたのか、

記録から分かるところ、わからないところが出てきます。

 

その上で、この事例相談者が相談者に対してどんな支援をするつもりだったのか、

それはどうしてなのかを根拠をもって整理してみます。

 

するとこの事例相談者の傾向や特徴などもみえてくるでしょうし、

またそれが相談者支援になっているのか、

事例相談者が自分でやったことについてどのように考えているのかも、

事例から伝わってくるものです。

 

事例記録というものは、

事例相談者が自分の面談を整理してまとめています。

しかし全てが書かれているわけではない。

 

要するに、事例相談者自身が面談の気になったところにつながる記憶をもとに、

大事だと考えているところを記述しているわけです。

 

だからこそ事例相談者の立場になって考えてみると、

その文字から感じられるものが出てきます。

 

単に書いてあることだけをキャリアコンサルティングの要点に照らし合わせて拾い、事例指導者(受検者)が事例について扱うだけでは、

良くても論述で60点そこそこ、ちょっとズレると50点台という感じになりやすい気がします。

 

これは少し悪く表現すると、

論述試験についてドライな取り組みになっているというか、

主に論理的に考えているだけになりそうです。

 

すると合格者の書き方とか表現の仕方とかに興味関心がいき、

自分の解答について添削をしてほしいということになっていきます。

 

課題解決志向に偏りすぎてしまうと、

記述された解答内容自体はどこか美しくみえるのかもしれません。

ただそれでは机上の空論にもなりかねません。

 

論述事例でも事例相談者の立場に立って考えることはできると思います。

 

そこが中途半端になっていると、事例指導者として何を示したいのか…

よくわからない解答内容になってしまうこともあるので注意が必要です。

 

先日の第11回の1級論述結果(点数)と解答再現していただいた内容を数名の方にいただいています。

 

前回までは主に高得点の方にお願いしていましたが、

今回は、ご本人の中で自己評価と結果が大きく乖離していた方の解答再現もいただきました。

 

私は試験受検者様の解答を評価することなど一切できません。

ただ、合格されている方と比較して気付くところは私なりにいくつかあり、

また、想定外に悪い点数だったという方には、決定的な所があるように思います。

※これは個別にお伝えしたいと考えています。

 

論述試験に苦手意識がある方は、

論述試験に対してのご自身の捉え方に何かがあるのかもしれません。

 

キャリアコンサルタント(他者)がまとめた事例(ケース)をお預かりして、

その内容を読む(つかむ)ことは実践でも必須なことですし、

また事例は、カウンセリング実践でも自己点検に必須のことになります。

 

まずは何も考えず、過去問等を使って事例を読む(つかむ)練習を重ねてみることは効果的です。

解答をどう書くとか、どう書いたかということはあまり意味がないように思います。

 

純粋にケースに書かれている話を理解してみることから始めることでしょう。

 

そして理解できたところ、できなかったところを自分なりに整理してみて、

その後、改めてケースをまとめた事例相談者の立場に立って読んでみると、

不思議なほどに気付くことが出てきます。

 

それが事例指導の面接のポイントになっていくこともあると思います。

 

そのようなところから取り組んでみることは、

現場においても役立つことになると思います。