程度の差こそあれ対人関係は人生の質に影響があります。
勿論、対人関係と書いても、個別に色々な対象があると思いますので、
一概には書き表し難いことです。
普段の生活だけではなく、
キャリアコンサルティングを実践していく上でも、
事例相談の面接を行う際にでも、
関係構築力は、面談の問題把握力や具体的展開力に影響をもたらすことになりますし、また基本的姿勢とも連動している力となりますよね。
1級の試験結果通知書の内容を含め、
合格に至らなかったとご報告をいただいた中には、
《関係構築力が60点に届いていない…》
とする内容が複数ございました。
メールをいただいた方には全てお返事をしたところなのですが、
私はそれは大切なポイントだと考えるので日記に書き留めておきたいと思います。
私が考えたことは
〈なぜだろう?決して関係構築力が弱いとは思えないのに…〉
ということです。
講座受講者様のロールプレイは少なくとも数回観察しています。
中には受検者の方が既にご自身の中で振り返りをされていて、
(実は、試験本番で、事例相談者に集中したつもりだったけれど、今振り返ってみると面接の進め方に注意が向いてしまっていた気がします。結局、自分のことしか考えていなかったことになるかもしれません…)
というニュアンスのメッセージもございます。
※実際のメール内容はご紹介できませんので、私の言葉に変え表現しています。
実践においても、事例指導やスーパービジョンの面接は、
事例相談者との面接を進めていくための関係性が弱ければ、
問題の把握も同様に弱くなり具体的展開力はもっと弱くなることも多いです。
事例指導を進めていく上での事例相談者との関係構築力が弱いということは、
基本的姿勢においても、60点や70点の結果もあるかもしれませんが、
80点にはなかなか届かないのかもしれません。
つまり、同じ60点で到達していても、それが評価としてプラス方向にあるか、
マイナス方向にあるかはご自身が一番よく知っていらっしゃる気がします。
面接の土台としての基本的態度と関係構築力は実技の全体に影響を及ぼします。
そしてそれは論述試験にも結果としてつながっていくことと思うのです。
まずは事例相談者のキャリアコンサルタントとしての
・個別性の重視
・事例相談者視点(事例相談者がみるクライエント)
・事例相談者主体、中心
・事例相談者の自己の決定への支援
・エンパワメント視点、持ち味、特徴
これらを指導者がどこまで理解していくことができただろうか…
どれか一つでもいいから事例指導者(受検者)が面接の中で一貫して大切にし、
事例相談者だけに集中していれば、
事例相談者にとっての成長パワーにつながるのだと思うのです。
そして事例指導やスーパービジョンは、
目の前の事例相談者との関係が維持できるからこそ、
事例相談者に効果的な質問も嫌味なく投げかけられる。
・クライエントの個別性の重視
・クライエント視点、クライエントの人生の質や価値観
・クライエント主体、クライエント中心
・クライエントの自己決定支援
・エンパワメントへの視点、ストレングスへの着目
これらのところで、
事例相談者がキャリアコンサルタントとして大切にできたところ、
大切にできなかったと思われるところを整理する段階に進めるのだと思います。
そして常に事例指導者が自分に問いかけることは、
『事例相談者はどのように思っているのだろう』
ということです。
事例指導者が事例自体に注意が向いて、
〈クライエントさんはその時どう思っていたのでしょうかね?〉
という問いかけをすることではないと思うのです。
それは事例相談者と事例指導者との関係性の段階次第で、
その効果が全く異なるということもあるでしょう。
要するに、試験の時間や諸々の諸条件等が自己の中で邪魔をして、
本来の自分の面接の良いところが発揮できなくなるのは、
どこかで試験に対して、自分が中心になってしまうからだと感じます。
実技試験ではそうした邪念みたいなものを解き放つ必要がある気がします。
みえない何か、呪縛を解き放つ術は必要なのかもしれません。
角度を変えて自分のことを離してみてみた時、
今のご自身にどのように声をかけるでしょうか。
ご自身の親友や大切な人が無力を感じているとき、
どんな風に隣に寄ってときを過ごすでしょうか。
少しずつでも心を浄化していってほしいと思います。
1級の試験とはいえ、なにはともあれ、相手をよく知ること、
そして事例相談者のキャリアコンサルタントとしての視点が重要になります。
面談プロセス自体は一緒です。
指導者が事例をどうにかするわけではありません。
例えば、
どこかで事例(ケース)のあれこれを使って指導者の枠組みで相手を説得しようとしていたり、
(こうすればいいのに)(こういうところに気付けばいいのに)
と思いながら、どこかで無理して事例相談者のご機嫌を損ねないように合わせていたりするような面接になっていたとすれば、
それは事例相談者をみていたことにはなりません。
この記事が読者の方にとって少しでもご参考になれば幸いです。