1級キャリアコンサルティング技能検定試験の実技(論述・面接)の対策講座で多く問われることに、

 

「どういうポイントで問題を示せば良いのだろうか」

「どうやって問題に気付かせれば良いのだろうか」

 

という感じのことがあります。


それは事例指導の面接を構造化面接的に考えてしまっているフシもあるのかもしれません。


つまり何かの答えに導きやすい効率的な方法論を探しているとも言い換えられるのかもしれないのです。

 

1級の試験に対していつの間にか、

受検者の方が事例相談者に正解等を示唆する、

気付かせることが面接の目的になってしまっている可能性もあるのかもしれない…


と感じることがあります。

 

対策講座のような性質のものには、

講師が「こうやって評価するといい」「このようにみていくといい」「こう書けばいい」等というように、

事例相談者に対する評価基準やその示し方を明確に表現することが求められているかもしれませんが、

恐らく試験官の先生方からすると、

それは意味がないと感じられているかもしれません。

※私の意見です。

 

一例ですが、

最近大学の授業で聞いたお話しを引用して表現をしてみます。

 

《とびっきり新鮮なピーマンを見定めて購入してきてください》

 

と言われたら読者の皆様はどうしますか。

 

人によって、

(ボディにツヤがあってハリのあるピーマンを選ぶ)

という判断と行動に出るかもしれません。

 

それはきっとその人の経験値や印象などから生まれた価値判断ですね。

ツヤとハリがその人にとっての主観的なピーマンの良し悪しを評価する基準になっています。

 

そこで新たな情報として、


《ピーマンの鮮度はヘタをみること。

ヘタの切り口と周囲に新鮮さが出ているのだ》


というような有効な情報が得られたとしたらどうでしょう。

 

要するに、


何かを判断するときに具体的・明確な基準があるとやりやすい。


皆、同じ基準で考えられるので

誰が判断しても間違えが少なくなりそうですね。

 

一例ですが、

外資系企業等の人事では、

ある特殊性の高い業務を遂行するための人材を確保するとき、

その業務に付随・特化した内容を問う信頼性と妥当性が高い構造化面接が有効になるといいます。


それはそうですよね。


しかし日本の多くの企業のように

特定の業務に特化した採用ではなく、

様々な部署での経験を経てキャリアを積み上げてもらおうとする場合、

構造化面接は相応しくないこともあります。

 

視点を変え面接をされる側からするとどうでしょう。


面接をされる側(応募者)、

自分から少しでもアウトプットしたいと考えている側からすれば、

構造化面接を受けることは否定的だというエビデンスも多くあるそうです。

 

構造化された面接を受ける側にとってはとても窮屈。

 

事例指導を受けるために指導者のもとに来た事例相談者は、

論述でも面接でも、

マニュアルのように構造化された視点だけで事例を読まれたり、

また質問をされたり、事例指導者のペースで面接を推し進められていくと、

事例相談者からすれば窮屈で居心地が悪くて仕方がない…

ということもあるのだと理解しておくことは大切です。

 

事例指導者の価値判断等だけで事例相談者を評価することは、

これは実技としては弱い可能性もあります。

 

受検者として構造化した考え方や情報が欲しいという弱い面があるのかもしれませんが、

まずは、目の前に来談された事例相談者にフォーカスすることを忘れないで欲しいと思います。

 

特に論述試験。

 

論述も実技試験ですので、

そのあたりは本当に気をつけておきたいものです。