1級キャリアコンサルティング技能検定の実技(論述・面接)試験において、

事例指導者として事例を客観的に読み取ることに偏ってしまう場合があります。

 

勿論、試験に限らず実践においても同様だと思います。


客観的にみることが悪いわけではありません。


しかし、

ひとがひとを理解しようと試みたとき、

客観的であればいいというわけではないと思うのです。


例えば、


目の前の事例相談者は自分が使う言葉で現実を認識しているでしょう。


そしてそれはその人独自の世界でもあります。


同じ言葉を表現するとき、

人それぞれ使う言葉の現実が異なることや、

その意味自体がまるで異なることもあります。


その人が使う言葉でみている現実と、

私がその言葉を通してみている現実とでは全く異なることもしばしばあります。

 

だからこそ、

目の前の事例相談者と一緒に擦り合わせを行う必要が出てきます。


面接試験であればその確認はしやすいですね。

 

では、

論述試験の問題で一体どうやって事例相談者と相互理解を深めていけばいいのでしょうか。


これが実践的な学びになるのだと個人的に考えています。


論述も実技試験ですから、

「次の文章は、事例相談者が指導を受けるためにまとめた事例である。」

という太文字を大事にしていくとわかりやすいのではないかと考えます。


要するに、

事例自体は事例相談者の主観的な視点が多く詰まっているでしょう。


事例指導者はケース記録自体の実践的な扱い方を知っておく必要があります。


そこに書かれている言葉たちは全て事例相談者が思い返しながら記述したものだとすれば、

当然に事例相談者の思い込みもあるのだと思います。


事例の記述のあれこれに事例指導者が巻き込まれていたら元も子もないことになります。


事例指導において焦点化したいところは

キャリアコンサルタントとしての事例相談者…

その人です。


事例をまとめた事例相談者を理解していくことで、

間主観性のあるかかわりとなり、

事例相談者の成長につながるよりよい面談がみえてくるのではないかと思うのです。


論理的、且つ客観的な思考や態度だけでは事例相談者の立つその時々の状況や背景などをとらえられていないことにもなります。


何故、

この事例相談者はここでこの言葉を使うのか…


事例記録をまとめていくときに色んなことを考えているでしょう。


そんな理解に努めていくことはとても意味深いことにもなります。


またそれは指導者自身のスキルをみがくことにもなるでしょう。