1級キャリアコンサルティング技能検定試験を受検された経験がある方はわかりやすいお話しになるかもしれませんが、
例えば、
ロールプレイの場面において
《システマティックアプローチにそって考えていきましょう》
《コーヒーカップモデルに置き換えてみましょう》
などなど。
事例指導者(受検者)の方策や考え方に事例相談者の事例を重ねて考えていこうとするシーンに出会うことがあります。
さらにその前に
《システマティックアプローチって覚えていますか?》
《コーヒーカップモデルって知っていますか?》
というような問いかけをしている事例指導者の方もいらっしゃるように思います。
事例相談者がそれに対して何も違和感なく考えることができるのであれば良いのですが…
こうした関わりをきっかけに、
事例相談者の表情がみるみるうちに豹変していき、
結果、修復不可能な関係性になってしまった…
事例指導面接どころではなかった…
何を提案しても《嫌々》と言われるようになってしまった…
このようなご経験はありませんか。
例年講座を実施していて、
上記のような流れを事例指導者がつくろうとしているシーンに出会うことがあります。
最後にはお互いの空気感が言い争いのような感じになっていたり。
これは1級に限らず、
2級のロールプレイでも似たようなことが起きているように私は感じます。
お話しは少しそれますが、
現在、
CVCLABで担当している接客業の世界でも類似したことがいえるのです。
また、心理面談でも医療面接においても共通の課題が存在しています。
何十年経っても同じことの繰り返しなんですよね。
土台として絶対に必要な目の前の人との関係性。
いくら世の中の様々なテクノロジーが発展し進化したとしても、
人と人との対話力の本質というものはそれほど進化していない…
というか、
もしかしたら退化している?
かもしれません。
※これは新型コロナの影響からも顕著になり深刻な問題にもなっていますね。
人と人との関係性等については、
特に時代に振り回されずに変わらないことも大切なのでしょう。
お話しは戻り、
そもそもキャリア形成支援のように心理的側面の支援が色濃い人との関わり等において、
事例を過度に一般化していくことは非常にナンセンスだと考えます。
自身やその背景が持つ枠組みなどに合致させていくように情報を処理することはあってはならず、
事例相談者が担当する事例の個別性を軽視していることにもなりかねません。
※論述であれば事例情報を自分の考えの枠組みに合致させていこうとすることも含みます。
体系立てて考えていくことは悪いわけではありませんが、
「この事例相談者」が考えていることが先ずは重要であり、
そこに私たちの注意が働くことが大切です。
事例情報を何かに当てはめていくことではないのです。
仮にいくら事例指導者が科学的根拠を持った理論に基づき話をしたとしても、
知識や理論、技法では人は癒されませんし、
事例相談者の動機付けを促す機会として効果的なかかわりとはいえないと思います。
※上記に記したシステマティックアプローチが科学的な理屈であるとネガティヴに書いているわけではありません。
ここで書きたいことは、
システマティックアプローチ等と向き合っているわけではなく、
また事例のあれこれの情報と向き合っているわけでもなく、
事例をまとめた事例相談者と向き合っているのだと改めて強調しておきたいと思います。
上記に記した記事内容とお話しが行ったり来たりしますが、
科学的・論理的な指導や管理、マネジメントなどは時に人を傷つけていくこともあります。
1級の面接試験も論述試験も実技試験として取り組むためにも、
キャリアコンサルタント同士での学びの中で、
概念化=一般化とは異なることをしっかり理解して欲しいと考えます。