1級キャリアコンサルティング技能検定試験の論述問題には、
事例相談者(キャリアコンサルタント)の性別と年齢、そして相談歴などが記載されています。
また、相談者(クライエント)の情報も、
性別、年齢、職業や家族などが記載されてますね。
※過去問(第1回〜第10回まで)の状況ですので、
今後の事例記録がどのような形式になるかはわかりません。
例を挙げると、
第9回の1級論述試験では必須問題事例1の場合、
事例相談者は男性62歳で相談歴2年、
相談者Aは女性38歳で中小食品メーカー勤務、総務部係長。
家族は夫38歳、長女1歳。
第10回の選択問題事例3の場合、
事例相談者は女性55歳で相談歴2年、
相談者Cは男性29歳で請負会社の契約社員。
家族は父58歳公務員、母55歳専業主婦、妹25歳公務員と同居。
このように一部の事例によっては、
事例相談者と相談者の間に、
何かしらのバイアスが生じやすい感じを受けることもあります。
また、選択問題の場合、分野が分けられているので、
相談者が来談する際のイメージや事例相談者の活動分野からの役割意識なども
ややリアルに想像しやすいと感じます。
事例指導を実施していく際、
実際にそうした面に焦点を当てながら、
キャリアコンサルタントとクライエントの間に
どんなことが起きていそうなのか考えていくことがあります。
例えば、
第9回の事例1であれば、
事例相談者(男性62歳)は相談者(女性38歳)の相談内容を受け、
内面でどんなことが起きていそうか、
勿論、それは想像の域を超えないものですが、
事例記録をまとめているのは事例相談者ご本人なのですから、
その記録内容から、事例相談者に何が起きているのかは、
根拠を踏まえ文字にできると思います。
それは論述で問われている「あなたの考え」にもなると思います。
逆に、相談者の立場からみてみても、
事例相談者から言われた言葉をどのように受け止められそうか、
発言記録を読んでそこで起きているであろう作用を想像することも可能です。
第10回の事例3であれば、事例相談者(女性55歳)は、
相談者(男性29歳)のプロフィールや過去の経歴などを受け、
どのような思考が働くでしょうか。
勿論、これもご本人に聞かなければ何もわかりません。
しかし、
事例記録をまとめてきているのですから、
その内容には「このように考えたからこうしたのだ」という
キャリアコンサルタントとしての考えや感じ方につながる行動が描かれていることも多いものです。
何も決まった答えなどありませんが、背景にあることをイメージして、
支援に役立てていくことを諸々考えるのは、現場でも常に必要なことになります。
論述問題を単なる紙の上での検討にしてしまうと、
こうした面にフラグが立たないまま、
単に試験問題を解くという方向で進めてしまう場合がありますので、
気をつけていたいものです。
事例指導者が事例相談者の事例を預かって、
事例相談者に確認も取れないうちに物事を断定的に表現することはできないはずです。
その辺りも意識しておくことは必要だと考えています。