1級キャリアコンサルティング技能検定試験のロールプレイの練習を観察していて、

承認したり、称賛していたりするシーンに出会うことは多いものです。

 

今回はこの称賛について少し触れてみたいと思います。

 

これから1級CCの面接試験を受検される方、

また、ブログ記事を実践に置き換えて読んでくださっている方は

機会をみて考えてみてください。

 

私たちの仕事(キャリア形成支援等)は個室等で実施しています。

 

基本は他キャリアコンサルタントからみられることはなく、

その自分の仕事の内容自体(面談内容)をその場で褒められるとか、

スキル等に関しての承認を得ることはありません。

※了解もなくこっそり観察されていたら不味いことになりますね。

 

例えば、

医師や看護師、料理人、俳優、音楽家、スポーツ選手、ビジネスマン等々。

 

拍手や称賛、承認、売上等諸々の形によって様々な方により利益等が得られるでしょう。

 

勿論、私たちはクライエントからの称賛が欲しくて仕事をしているわけではありません。


クライエントが笑顔になった…

クライエントから役に立った…といってくれた。


こうしたクライエントの変化は、

私たちの仕事へのモチベーションのひとつになりますが、

多くの場合、その目的が達成されているかは明確にならないこともあり、

自己評価の域や推測の域を超えないともいえます。

 

クライエントは自己のことで精一杯であることからも、

キャリアコンサルタントがクライエントから真の感謝を得られることは、

それほど多くはないのが実情だと思います。

※その後のクライエントの状況等を観察できる場がある方はまた異なるのかもしれませんね。


ここで書きたいことは、

事例相談者(キャリアコンサルタント)が自己のケースを振り返り、

事例記録として起こし、事例指導者のもとに指導を受けたいと来られること自体が、

とても勇気のいることでもあり、

また、その姿勢はキャリアコンサルタントとして大切なことでもあります。


事例指導者は事例相談者と向き合うときの心得のひとつとして、

「忠告は秘かに、称賛は公に。 」

というものがあると私は思います。


これは詩人のシルスという方のお言葉です。


どうかすると事例指導者は、

称賛を公に…というか、

大袈裟に褒めたりしながら、

そこに人間関係性を求めてしまっていたり、


また、


事例指導の面接の後半になると試験(ロールプレイ)の時間が気になり、

忠告というか、

指摘することを称賛以上に印象付けてしまい、

前半の称賛自体が逆効果に働いてしまっている場合があります。


一例として少し細かなお話しにすると…


事例相談者からすれば、


さっきまで称賛してくれていた指導者から、


「〇〇は良いのだけれど…」

「しかし…」

「でも…」


といった否定表現が入りはじめた質問や応答を受けると、


(あれ?)


という感じで、

よりマイナスのインパクトがあるものです。


円滑な人間関係が重要な鍵のひとつであるこのセッションにおいて、

そうした関係性のズレは、

その後の質の高いやり取りをおこなうのに阻害要因となり得ると思います。


事例相談者が事例指導に向き合おうとしている姿自体、

真の称賛が必要なときだと私は考えています。


それは言葉だけではなく

事例指導者が事例相談者を信じている気持ち、

専門家としての愛情です。


1級CC技能検定試験のロールプレイにおいても、

事例相談者役の方をそのように受け止めていくことは必要なのではないかと感じます。


事例指導者が試験のこと(自分のこと)だけで精一杯になってしまうような時は、

一旦立ち止まってみて、

目の前の人をみて欲しいと思います。