事例指導の面接は、
事例相談者の知識的な向上やその面談技術的な向上を目指すことにもなりますが、
それ以上に、事例相談者が学びに向かう内発的な動機づけにつながる要素にも刺激を提供していく面が大いにあると思います。

そこには、事例指導者自らの人間観などを示していく場面も必要であったり、
また、事例相談者の人間的成長やプロとしての資質向上につながるような働きかけが重要なのかもしれません。

単に事例について理論的、知的に指導しても、
それは表面だけのことに過ぎないともいえるのでしょう。

原点は事例相談者のプロとしての不安や悩みを知ること、
そしてそれを理解して受け止めていくことができることに大きなポイントがあると思うのです。

ただし、
それはクライエントへのかかわりと同じかというと、
全く異なるのかと思います。

事例指導の面接の場面は、
事例相談者の個人的な心理的支援を行うわけではないからです。

これがクライエントとキャリアコンサルタントの関係性と、
事例相談者と事例指導者の関係性との異なりなのだと思います。

ソーシャルワークでのスーパービジョンを学んでいる方は、
この辺りのことがはっきりと理解できていることが多いと聞きますが、
キャリアコンサルタントの業界では、
こうしたことを考える機会が少ないこともあり、
また確立されていないことも多々あると感じます。

何はともあれ、
事例指導の面接の目的を事例相談者としっかり確かめ合っていれば、
お互いの目的のズレなどを防ぐことにもつながるのでしょう。

そして事例相談者の人間的成長には、
事例指導者のあたたかな眼差しやその気持ちがあるからこそ、
事例相談者の不安や悩みを軽減していく緩衝要因にもなるのだと思います。