今回から改めて、
1級キャリアコンサルティング技能検定の論述試験について、
各問で求められていることを私のひとつの考え方で具体的に解説していきます。
講座を始められましたら、
受講いただける方にはまた詳しくお話しをいたしますが、
読者の方々にとって少しでも学びのネタにつながればと思い、
出来るだけわかりやすく書いていきたいと思います。
今日は、
必須問題の問1について解説いたしますので、
皆様のお考えと照らし合わせてみてください。
これまでこのブログで何度かご紹介をしてまいりましたが、
必須問題の問いは、
第2回の1級CC技能検定試験から昨年度に実施された第9回まで、
内容に変化がなく同じ質問が8年間設定されてきています。
※第1回の必須問題では5問の設定があり、
同年の選択問題の問いの内容(選択問題は第4回まで5問での設定)と全く同じでした。
私などが偉そうに書けることではありませんが、
CC技能検定試験の論述問題は個人的には実に基礎実践的な設問になっていると思っています。
いわばCC技能検定の論述試験が実技試験であるというこだわりというか、
そうした設計がなされている意味合いが受検者に伝わってくる質問設定だと感じます。
だからこそ、
事例指導の面接を実務的(実際的)に行うイメージで臨むことが必要なんだと考えています。
あるキャリアコンサルタントが事例指導を受けるために、
自分の事例をまとめて相談にやってくるという場面に至るまでには、
そのキャリアコンサルタントにとって様々な過程を経ているはずです。
そうしたことを事例に記されている情報から、それをどのように読んでいくのかは、
事例指導者役(受検者)の裁量になるのだと思います。
〈あなたの考えを記述せよ〉
という点でそうした力を発揮できるところになるのでしょう。
キャリアコンサルタントとクライエントの間で交わされている言葉たちを捉えることも重要ですが、
キャリアコンサルタントとクライエントとの固有のやり取りの中から生み出されたそのひとつの面談の中で、
事例相談者が事例にそこを記録している背景などを捉えていく(推測していく)ことは、
生きた指導プランを立てていくうえで重要なことだと思うのです。
【必須問題】
問1 この相談者Aについて、どのような問題があるか、あなたの考えをその根拠を含めて記述せよ。(15点)
上記に解説してきたことを踏まえてこの問1を考えていくと、
私が大切にしていることは、
〈この事例相談者は、相談者Aとのやり取りのどの辺から、相談者Aが何を聞いて欲しいと捉えているのか、
そしてキャリアコンサルタントの考えとしては、相談者Aの話を聞きながらどんな問題を抱えていると捉えているのか〉
このように、
事例相談者が相談者Aをどのようにみているかを理解することが事例指導の大事なポイントにもなるのでしょう。
事例をまとめてきている事例相談者の記録を通し、
その背景を含め文字にしてまとめていくことが必要です。
そもそも受検する側の事例指導者役に立つ者は、
相談者Aには会っていないわけですから、
目の前のキャリアコンサルタントがまとめてきた事例記録だけを素材にしても、
相談者Aが抱えている問題について直接的な見立てを行うことは難しいはずです。
さらにはこの場(事例指導面接)自体、
事例相談者の成長を目的としていて、
相談者Aへの直接的な支援を目的としているわけではありません。
事例相談者が質の高いキャリアコンサルティングを展開していくうえで、
今後のクライエント支援がより満足の高いものになっていくように目標や課題を設定していくものです。
ここの解答で相談者Aの問題を事例指導者の視点中心に記述することではないと私は認識しています。
さて、皆様はどのように考えるのでしょうか。
色んな考え方があって当然だと思いますので、
ご自身にしっくりとくることをやって欲しいと願っています。
次回は必須問題の問2の解説をいたします。