1級キャリアコンサルティング技能検定試験では、

論述でも面接でも「事例記録」を取り扱います。

 

その事例をまとめたり説明したりするのは事例相談者であり、

その事例(実際は事例相談者)を理解しようとするのは事例指導者です。

 

先ず、事例相談者は事例について何かが納得できずに事例を振り返ることが多いと思いますが、

その時に事例相談者にとって「記憶」が必要になることでしょう。

 

記憶といえば、

キャリアコンサルタントは過去の事例を振り返るとき、

その面談自体がビデオに収録されていることが一番確実です。

 

それがなくとも、せめてICレコーダー等に音源があるだけでも正確性が増します。

 

しかし事例指導を受けようと思った事例について、

それを逐語記録で正確に整理している人は少ないでしょう。

 

そもそもうまくいっていない事例を残すことに相談者からの理解も得難いかと思います。

 

今回は、1級CC技能検定試験で手にする事例記録について実践的に触れてみます。

 

ビデオでもレコーダーでも人間の脳でも、

符号化、貯蔵、検索の3段階が記憶の過程となりますが、

先ず、符号化する際、人は音声を電気信号に変換してメモリに貯蔵するわけではありません。

※ロボットやレコーダー等は電気信号にして半導体等に書込みます。

 

機械は音声の符号化、貯蔵時に意味を必要としません。

 

しかし、

人は音声を「意味」に変換してメモリするという、

機械とは全く異なる点が心理学の世界なわけです。

 

ここで何を書きたいかというと、

 

人はその音声(言葉)の意味をどう受け止めているかによって貯蔵の内容が変化する。

 

これがわかっていることが事例を使った事例指導面接に必要です。

 

事例記録は、実際の音声のままコピーされ、それが貯蔵されているわけではなく、

その事例記録のほとんどが、「事例指導を受けるためにまとめた事例」となります。

 

要は、人間の場合の記憶表象は、

その人がその音声や非音声の意味を捉え、それが記録として展開されるのです。

 

その人(事例相談者)が意味を理解する過程で、

枝葉末節なことがカットされたり、経験値や価値観等から推論や自己中心的な解釈が生まれ、

実際と異なる情報が付加されることだってあるのです。

 

同じ音声を聞いても、同じ表情をみても、

人によってその受け止め方や意味合いは千差万別なのです。

 

こうしたことから、事例指導を考えていくとき、

事例記録自体に注目しても、事例相談者に役立つ事例指導面接が成立しないことをこのブログに書いてきています。

 

事例相談者を理解できるように事例をどう活用するのが良いのか、

これがまさに論述と面接の課題であり、つながりだと私は思います。

 

この記事で「ハッ」と気づかれた方も多いかもしれませんね。

 

事例記録に意味がないということではないのです。