受検票と一緒に届いているロールプレイケースについて、

ひとつの考えを書いてみます。

 
1級キャリアコンサルティング技能検定の面接試験では例年3ケースあります。
 
この3ケースを一字一句おろそかにせず、
脳の長期記憶領域に完璧に放り込んでいる人もいらっしゃるかもしれません。
 
さらには、
「相談者が相談したこと」の内容について様々な推測をして、
相談者のその問題解決のため、幾つもの手段等の見通しを立てていたり、
「キャリアコンサルタント(事例相談者)が相談したいこと」の内容について、
ケースに記載されている言葉尻にこだわり、
その目的等を果たすためのアプローチや方向づけをパターン化して、
面接の進め方に当たりをつけている方もいらっしゃるのかもしれません。
 
どのように考えてもよいかと思いますが、
ひとつの視点で記事を書いてみます。
 
この時期にこのブログにアクセスいただいた受検される方へ、
「普通でよい」という現場感覚を取り戻してもらえたらと感じています。
 
先に結論を記すと、
ロールプレイケースをそこまで読み込む必要はないと思います。
※こうした感覚は個人で異なります。私個人の感じ方です。
 
何故なら、そこに書かれている文面をどう受け止め考えるか、
感じているのか、意味合いや繋がりはどうか等々、
当然ながら事例相談者の枠組みで細かな点が全て異なってくるでしょう。
 
仮に物語が全く一緒でも、そこにいる人には必ず異なりがあります。
 
実際にそれが一番大切であり、事例指導の面接場面でも、
目の前のその人を専門家としてわかろうとすることに意義があるからです。
 
ケースをみるわけではありません。
 
もし貴方が、ケース内容に苦手意識のある言葉や知らない言葉があるなら、
《何のことかな…》
という具合に調べておいて損はないかもしれませんが、
本来なら、わからなければ事例相談者に現場で素直に聞けばよいと私は思います。
 
事例指導者の力と姿勢において、
そうした純粋な謙虚さを常に持ちあわせていることが大切だと思います。
 
自分の知識範囲だけで
《知っている…》
それが、阻害要因となることがあるというのは、
ご自身が多くの場面で体験しているかと思います。
 
事例指導者がケースに注目していくことは、
事例相談者の育成的なかかわりとして、あまり役に立たないことも多いものです。
 
少し極端な表現となりますが、
《私がこのケースでの問題をみつけて料理してやろう…》
というようなニュアンスになってしまっていると、
 
肝心の事例相談者を理解する時間が取れなくなり、
事例指導の面接中、終始ケースのあれこれを話し合うことになるかもしれません。
 
これでは事例相談者は30分間のセッションが辛く、とても居心地が悪くなってしまう。
 
ケースを修正しようとするのではなく、
事例相談者がその時の自分の考えや方針を生かしていけるよう、
それを支持していく姿勢がセッションで必要なことも多いものです。
 
しかしながら、
 
事例相談者からすれば、例え支持してもらっても、承認してもらったとしても、
《そんなにほめられても相談者は来てくれなかったのだから…》
と、事例指導者の支持の姿勢に不快感を示す場面もあるでしょう。
 
これは、事例相談者にとって、
表面的にただ承認しようとされているだけに感じているからなのかもしれません。
 
馬鹿にされているのではないか…とすら思えることがあります。
 
何でも承認すればいいってものではありませんね。
 
キャリアコンサルタント同士だからこそわかる事例相談者の仮説や見立て、
そして事例相談者が相談者に対して考えていたその支援方針と細やかなかかわり行動等、
こうしたことをわかろうとする姿勢が、結果、肯定的でもあり、言語を通し通じ合えることが続々と増えてくるものです。
 
その積み重ねができているからこそ、
事例相談者が自分のこととして、今ここで新しい視点等をもてるような、
そんな自由で、且つ元気を抱けるような時間にできるのです。
 
明日から事例相談者が取り組むことができそうなこと、
それが見つかるのです。
 
お話しは戻り、
 
事例指導者がケースを読み込むことは、
事例指導者の思い込みが強くなっていくこともあるので注意した方がいいと私は思います。
 
全ては目の前の事例相談者を通して教えてもらえばよいのではないでしょうか。
 
進め方は人それぞれなので、
ひとつの考え方として参考にしてもらえればと考えています。
 
記事内容にフィットする方は、本日の実践諸活動等にも取り入れてみてください。
クライエント支援のときも役立てられることだと思います。
 
よい意味で肩の荷がおりることがあるのです。