私がある先生から教えていただいた、

指導者としての原則を一部ご紹介いたします。

 

1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験においてもお役に立つ内容だと思います。

 

先ず、

今回の記事のタイトルを少し説明すると、


事例指導者は事例相談者の学ぶエネルギーを信じ、

そして、

その多くのエネルギーが学びに向けられるように

かかわっていくことが、特に大事だということです。

 

要は、

事例相談者の学びへのエネルギーを有意義に最大限利用していくということです。

 

例えば、

事例相談者は事例指導者との面接の進み方次第では、その面接時間に何とも言い難い抵抗を感じることでしょう。

 

よく表現される「居心地が悪い」ということでしょうか。

 

そのような時は、

事例指導者も同時に同じような時間を体験することも多く、

お互いにとって、決して建設的な関係とは言い難い雰囲気が漂います。

 

事例相談者は、

事例指導者との時間に、不安や失敗への恐怖、羞恥心や罪悪感等々、

様々な葛藤を抱いていくことでしょう。

※そもそも最初からそうした葛藤を抱いていることも多く、

事例指導者のかかわり次第でさらにそれが増長していくことがあります。

 

そうした葛藤に、

事例相談者の自らのエネルギーを費やすことになり、

それは事例相談者の自律的な考えを妨げ、

そして事例指導の目的が不明確になっていってしまいます。


こんなお話を先生から教わりました。


《自分の内側で怒りが次々と湧き上がり、どんどん固く自分が閉じていった。

クライエントについて話すことなどどうでもよくなった。

私たちの間に流れる雰囲気は重いもので、何を考えるべきだったかもわからなくなってしまった。》(Herrick 1977:95)


これは拒否的な態度をとったスーパーバイザーがスーパーバイジーに及ぼした影響について、あるスーパーバイジーが述べていることだそうです。

 

本来、事例指導は、

事例相談者が葛藤で悩むのではなく、

学びの中でより効果的に自身を機能させていきながら、

自らのスキルで解決法を決定していく行動がとれる能力と態度を発達させていくことであると考えます。

 

構造化していくための準備に最善を尽くすことは事例指導者の役割です。

 

それには時間を大切にしていく姿勢、

役割意識、学習への建設的な期待、

義務、目的等、要点を明確化する必要があり、

事例相談者が自分の学びに焦点を絞ることができる環境を提供することが重要だと思います。

 

それができることで事例相談者の不安を軽減し、学びへ全力を傾けられることとなります。

 

事例指導者がそうしたことを理解しているか否かで、

事例相談者の不安は増減するものです。

 

そして、

事例相談者の権利を尊重し、

安全安心な雰囲気を一貫して創造し続け、

事例相談者がもっているもの、できること、それらを承認しフルで利用する。


絶対的に個性を考慮することです。

 

事例指導者はこうした人間観を持つことが必要だと思うのです。

 

事例指導の実技の中で、

こうした姿勢と態度が全過程で安定し実践できるのであれば、

1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験はよい結果がついてくるのではないでしょうか。

 

そして上記のことは現場で絶対的に必要、

且つ役立つ実践力です。

是非、意識して論述、面接を考えてみて欲しいと思います。