私たちはキャリアコンサルタントとして面談をおこなっていて、

クライエントに対し、

自身の経験上からくる価値観のようなものが、つい顔をのぞかせてしまうことがあります。

 

これは誰しも経験があることではないでしょうか。

 

ただ、

キャリアコンサルタントを生きると決めたときから、

 

キャリアコンサルティングに必要な技法等を専門的に学び重ねていくことによって、

そうした極自然に生まれてくるお節介のようなものが、

クライエントにとっては極めてまずいことになるという理解を深められるわけです。

 

一方、そうは言っても、

こうしたことは紙一重でもあり、

どこまでがそうした「価値観の押し付け」的なものになるのか、

ライブで面談をおこなっているとわからなくなってしまうこともあるのです。

 

どうしても、人の問題を客観視できる立場にいると、

 

「こう考えてみたらどうなの?」

「それは違うでしょ?」

 

みたいな思考がキャリアコンサルタント側に働くことは普通だろうし、

そこに気づくことが大事なことだったりもするからです。

 

しかしながら…

 

目の前のクライエントの立場で考えてみれば、

 

何かしらのピンチな出来事が起きたり、職場や家族の人間関係等で悩み、

その根幹には、

クライエント自らわき起こる考え方や想いなどから適切な行動がとれない状況にあり相談に来ています。

 

要は、自身の捉え方、

価値観等が阻害要因になっていることが多いものです。

 

既にそうしたことで葛藤を覚えていたり、

人とぶつかったりして、どこかくすぶった心情を抱えている人に対して、

 

「こう考えてみたらどうなの?」

「それは違うでしょ?」

 

と、専門家にまで言われてしまったら、

クライエントはこの先どうすればよいのでしょうか。

 

せっかく重い腰をあげて相談に来たら当たり前のことを言われてしまった…

 

となるかもしれません。

 

そもそも。

自分で自身の考え方などについて内省し、

適切な方向に向かうことができれば来談しないかと思います。

他人に相談などしません。

 

そんなに簡単なことではないわけです。

 

自分の考え方は間違っていない…

でも、何だかうまくいかない。

 

自分ではどうにもならない…

どうすればいいのかわからない。

 

クライエントはそうして悩んでいることでしょう。

 

その相談者に対して、

 

「こう考えてみたらどうなの?」

「それは違うでしょ?」

 

という答えを示すことが専門家のやることかといえば異なるかと思います。

 

より良い解決方法は、

クライエントが自身の課題としてみつけていくものです。

 

それは、相談をしている側が、

今、みえていない自身や周囲の状況を冷静にここで見直して、

そしてその改めて今状況を把握できることから始まります。

 

本人が何かの糸口を見つけ始めることからです。

 

専門家への相談の効果はそうしたところに価値があり、

適切な場面で、

必要に応じた適切な助言や情報提供等が重なり、

またそれが相乗効果のようにクライエント視点の内外的世界を変化させていくのです。

 

実は、

事例指導の面接でも事例相談者との関係に類似したことが起こります。

 

事例指導者側の価値判断で推し進めようとしても、

事例相談者の役に立たず、

 

結局、それはその先に存在するクライエントのためになっていないこととなります。

 

相談関係には、相談をする側が、

自由であることが必須条件にもなるのではないでしょうか。